11月18日、英国国防省は、英国空軍(RAF)がAirbusA330の軍用仕様機であるRAFボイジャーで100%サステナブル航空燃料(SAF)フライトを完了したと発表した。同規模の軍用機で全エンジンに100%SAFを使用した90分間のフライトは史上初であり、英国内のあらゆる種類の航空機で初めてである。
SAFは、現在、世界の温室効果ガス(GHG)排出量の2~3%を占める航空業界の脱炭素化に貢献する重要なツールのひとつと考えられている。SAFは一般的に、廃油や農業残渣など、持続可能な資源から製造される。SAFの生産者は、従来の燃料と比較して最大80%の温室効果ガス排出量の削減が可能であると見積もっている。
今回のSAFによるフライトは、英国政府が7月に発表した2050年までに航空機の運航を完全にゼロにする戦略「ジェットゼロ」に続くもので、SAFの需要と供給の促進が重要な優先事項として位置づけられている。今年初め、政府は、2023年末までに100%持続可能な航空燃料を使用した史上初の排出量ゼロの大西洋横断飛行を実現するという公約を発表し、燃料製造コストの高さ、インフラと生産の規模拡大のための多額の投資の必要性、原料の入手性など、SAF利用拡大への障壁を解決する一連の取り組みの概要を明らかにした。
また今回のフライトは、持続可能な航空燃料の一連のマイルストーンの中で最新のものである。昨年末、United Airlineは、100%SAFを搭載したエンジンによる史上初の旅客飛行の完了を発表し、2022年6月には、再生可能燃料供給会社Neste、地域航空機メーカーATR、スウェーデンの航空会社Braathens Regional Airlinesが、民間地域航空機で史上初の100%SAF搭載試験飛行を完了したと発表している。
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Neste・ATR・Braathens、SAFを使用した初フライトを実施
英国国防省によると本フライトは、RAF、防衛装備支援(DE&S)機関、および業界パートナーのAirbus、AirTanker、Rolls-Royceの共同努力で、燃料はAir bpによる供給であるという。
【参照ページ】
(原文)Royal Air Force completes world-first sustainable fuel military transporter flight
(日本語訳)英国空軍、世界初のSAFによる軍用輸送機の飛行を完了