英国の規制当局、ESGデータおよび格付けプロバイダーのための行動規範を策定へ

英国の規制当局、ESGデータおよび格付けプロバイダーのための行動規範を策定へ

11月22日、英国の金融サービス企業および金融市場の行為規制機関である金融行動監視機構(FCA)は、ESGデータおよび格付けプロバイダーの行動規範を策定するためのワーキンググループを結成したことを発表した。

投資家がESGを考慮した投資プロセスを取り入れるようになり、ESGデータ、サービス、格付けに対する需要が急増しているが、一般的にプロバイダーの活動やビジネスは、市場や証券規制当局の対象外となっている。

2021年11月、証券規制当局の基準設定機関であるIOSCOは、規制当局に対し、ESG格付けおよびデータ分野の透明性向上に注力し、規制監督の適用を開始するよう促した。また、IOSCOは、プロバイダーに対して潜在的な利益相反の特定と開示を義務付けること、プロバイダーが使用するデータと方法論を検討することなど、規制当局に対する一連の推奨事項を提示した。

昨年、FCAはESG戦略を打ち出し、市場参加者がグリーンやその他のESGラベル付き金融商品・製品を信頼できるようにすることを目的とした取り組みを盛り込み、ESGデータ、格付け、保証、検証のプロバイダーのサービスも網羅した。2022年6月、FCAはこれに続き、特定のESGデータや格付けのプロバイダーに対する規制的監視を導入することを支持する旨の表明を行った。

FCAによると、新しい行動規範は、国際的に一貫性を持たせるために、IOSCOの勧告や他の管轄区域の動向を考慮し、一貫したグローバルな基準の開発を促進するのに役立つとされている。

FCAは、国際資本市場協会(ICMA)と国際規制戦略グループ(IRSG)を、新たに結成されるグループの事務局として任命したと発表した。同グループは、M&G、ムーディーズ、ロンドン証券取引所グループ(LSEG)、Slaughter and Mayが共同議長を務め、投資家、ESGデータ・格付プロバイダー、格付機関も参加する予定である。

【参照ページ】
(原文)Code of Conduct for ESG data and ratings providers
(日本語訳)英国の規制当局、ESGデータおよび格付けプロバイダーのための行動規範を策定へ

関連記事

おすすめ記事

  1. TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    2025-7-10

    TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    ※本記事は2024年10月の内容にGX-ETSに関する内容を追記し再掲載している。(2025年7月…
  2. TNFD開示を支援する 主要ツール比較と選定ポイント

    2025-6-11

    TNFD開示を支援する 主要ツール比較と選定ポイント

    2024年にTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-…
  3. 進化するサステナビリティ開示 ― 傾向から考える“自社の対応状況”

    2025-6-6

    進化するサステナビリティ開示 ― 傾向から考える“自社の対応状況”

    サステナビリティ情報開示の高度化が急速に進んでいる。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)…

ピックアップ記事

  1. SSBJ(気候関連開示基準)とGX-ETSの共通点とは?~比較解説と実務効率化~

    2025-8-14

    SSBJ(気候関連開示基準)とGX-ETSの共通点とは?~比較解説と実務効率化~

    日本企業にとって、2026年から「気候変動対応・開示」は、企業価値を左右する重要な経営課題になるで…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 2025-8-11

    バークレイズ、サステナブルファイナンスで累計2,200億ドルを達成

    7月29日、英国大手銀行バークレイズは、2025年上半期のサステナビリティ投資家向けプレゼンテーシ…

““登録02へのリンク"

ページ上部へ戻る