香港取引所、2025年よりIFRSに基づく気候情報開示を義務付ける

4月19日、香港証券取引所は、IFRS財団の国際サス テナビリティ基準審議会(ISSB)の新報告基準に基づき、全上場企業に対し、2025 年度の報告からスコープ1と2の排出量開示 を義務付けることを発表した。

今回の発表は、同取引所が昨年、企業に対し て新たな気候変動関連開示を提案するコンサルテーション を開始したことを受けたものである。同取引所は、「提案に対する広範な支持を得た」と報告し、今回の協議案の採用に至った。

IFRSは、2023年6月に一般的な持続可能性報告基準(IFRS S1)と気候変動報告基準(IFRS S2)を発表し、7月には、証券規制当局のための主要な国際政策フォーラムであり基準設定機関であるIOSCOが、規制当局に対し、持続可能性報告規制の枠組みに同基準を組み込むよう呼びかけた。

この決定はまた、香港政府が先月発表した、持続可能性開示のための包括的なエコシステムの開発に向けたアプローチを示す声明に続くもので、規制当局や利害関係者と協力してISSB基準の適切な採用に関するロードマップを作成し、ISSBに沿ったローカルな持続可能性報告基準を開発することを含む。

新ルールの下では、取引所に上場するすべての発行体は、2025年1月1日から始まる報告期間について、スコープ1と2のGHG排出量の開示を開始することが求められる。ハンセン総合大型株指数(HSCI総合の時価総額の80%を占める)に含まれる大型株発行体とその他のメインボード発行体も、2025年以降、スコープ3のバリューチェーン排出量に関する報告を含むその他の情報開示をコンプライアンス・オア・説明ベースで提供することが求められ、大型株発行体は翌年からこれらの情報開示を義務化される。中小規模の 「GEM 」発行体は、Scope1と2の排出量以外の開示を任意で行うことができる。

【参照ページ】
(原文)EXCHANGE PUBLISHES CONCLUSIONS ON CLIMATE DISCLOSURE REQUIREMENTS
(日本語参考訳)取引所、気候変動開示義務に関する結論を公表

関連記事

おすすめ記事

  1. TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    2025-7-10

    TCFD・IFRS・CSRDの移行計画とは:業界別に考える開示ポイント

    ※本記事は2024年10月の内容にGX-ETSに関する内容を追記し再掲載している。(2025年7月…
  2. TNFD開示を支援する 主要ツール比較と選定ポイント

    2025-6-11

    TNFD開示を支援する 主要ツール比較と選定ポイント

    2024年にTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-…
  3. 進化するサステナビリティ開示 ― 傾向から考える“自社の対応状況”

    2025-6-6

    進化するサステナビリティ開示 ― 傾向から考える“自社の対応状況”

    サステナビリティ情報開示の高度化が急速に進んでいる。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)…

ピックアップ記事

  1. SSBJ(気候関連開示基準)とGX-ETSの共通点とは?~比較解説と実務効率化~

    2025-8-14

    SSBJ(気候関連開示基準)とGX-ETSの共通点とは?~比較解説と実務効率化~

    日本企業にとって、2026年から「気候変動対応・開示」は、企業価値を左右する重要な経営課題になるで…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 2025-8-11

    バークレイズ、サステナブルファイナンスで累計2,200億ドルを達成

    7月29日、英国大手銀行バークレイズは、2025年上半期のサステナビリティ投資家向けプレゼンテーシ…

““登録03へのリンク"

ページ上部へ戻る