EU議員団、2030年までに道路・農業・建築物部門の排出量削減要求を40%に引き上げ

EU議員団、2030年までに道路・農業・建築物部門の排出量削減要求を40%に引き上げ

11月9日、欧州議会と欧州理事会の議員らは、いくつかの部門においてより厳しい排出削減を定めた法案に合意したと発表した。

新しい合意が対象とする部門(道路、国内海上輸送、建物、農業、廃棄物、小規模産業など)は、EUの総排出量の60%を占めている。本提案は、これらの部門における温室効果ガス(GHG)排出量を2030年までに40%削減することを目指しており、EUの既存の29%削減目標よりも高い数値を示している。

新しい「40%」という目標は、欧州委員会の「Fit for 55」ロードマップ〔2030年までに温室効果ガス(GHG)排出量を1990年比で55%削減するEUの取り組み〕の一部として、昨年、提案されたものである。

本合意では、欧州委員会が提案した各加盟国に割り当てられた国別目標値の引き上げは維持されるものの、加盟国が目標達成のために既存の「フレキシビリティ」を利用する方法が調整されている。

加盟国が利用できるフレキシビリティには、年度間の排出削減量の預け入れや借り入れ、加盟国間での排出削減量の割り当ての取引などがある。例えば、2022年から2029年の間、排出削減要求量より多く削減した場合、年間排出量割当量の最大25%を翌年に使用するために預け入れできる。また、排出量が年間制限量を超えた場合、翌年からの割当量を借り、2025年までは割当量の最大7.5%、2026 – 2030年は最大5%を借りられるようになる。

議会と理事会の合意により、同提案は今後、正式な採択に向けて進むことになる。本合意は、「Fit for 55」交渉の完了に向けた重要な一歩となる。

【関連記事】EU、2035年までにすべての新車にゼロエミッションを義務化

【参照ページ】
(原文)Fit for 55: Deal on stricter rules for member states’ greenhouse gas emissions | News | European Parliament
(日本語訳)EU議員団、2030年までに道路・農業・建築物部門の排出量削減要求を40%に引き上げ

関連記事

おすすめ記事

  1. 【最新】TISFDとは?概要・指標から国内外基準との関連まで徹底解説

    2025-9-11

    【最新】TISFDとは?概要・指標から国内外基準との関連まで徹底解説

    気候変動や自然資本など、環境領域に関する開示が進みつつある中、次なるテーマは「社会」の領域。TIS…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…

ピックアップ記事

  1. 2025-10-29

    イベントレポート サステナビリティ経営フォーラム2025

    『本質に迫る対話とデータ活用 ~信頼を築く情報開示と戦略の再構築~』 ESG Journal…
  2. 【2026年本格適用】CBAM(炭素国境調整メカニズム)への実務対応ガイド

    2025-10-27

    【2026年本格適用】CBAM(炭素国境調整メカニズム)への実務対応ガイド

    2026年1月からEUでは炭素国境調整メカニズム(Carbon Border Adjustment…
  3. 2025-10-27

    GRIとCDP、環境報告の共通化へ―新マッピングでデータ活用を促進

    10月21日、国際的なサステナビリティ報告基準を策定するGlobal Reporting Init…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る