11月8日、英国の移行計画タスクフォース(TPT)は、企業が気候移行計画を開示するための新しいフレームワークを立ち上げたと発表した。
TPTの共同議長であり、アビバグループのCEOであるAmanda Blancによると、新しい開示フレームワークは、企業がネット・ゼロのコミットメントを発表することが増えている中、まだ多くの企業がその目標を裏付ける計画を公開しておらず、開示されている計画の質、一貫性、詳細度にはばらつきがあるとしている。
TPTの設立は、昨年のCOP26で当時の大蔵大臣、現英国首相のリシ・スナック氏が発表し、2022年4月に正式に発足したものである。COP26でスナック氏は、英国が英国の金融機関や上場企業に対してネット・ゼロ移行計画の開示を義務付ける要件を導入すると発表し、英国財務省は、グリーンウォッシュを防ぐために、業界や学術界のリーダー、規制当局、市民社会団体からなるタスクフォースを設立し、移行計画の「ゴールドスタンダード」を策定する計画を明らかにした。
本発表では、企業や金融機関がゴールド・スタンダードの移行計画を策定するための提言を行う「TPT開示フレームワーク」と、移行計画の策定手順や、いつ、どこで、どのように計画を開示すべきかを定めた「TPT実施ガイダンス」が含まれている。さらに、TPTは、ユーザーがフレームワークとガイダンスの実施をテストするための「サンドボックス」を開始した。
新しい開示フレームワークとそれに付随する実施ガイダンスは、TCFD勧告、GFANZ(Glasgow Financial Alliance for Net Zero)、ISSB(International Sustainability Standards Board)などの既存および新しい基準や勧告を活用しており、英国における今後の規制に反映される予定である。
TPTは、フレームワークとガイダンスを2月末まで公開し、コンサルテーションとサンドボックスからのフィードバックを元にツールを完成させると述べている。
英国金融行動監視機構(FCA)のESGディレクターであるSacha Sadan氏は、規制当局はTPTの最終成果物を利用して、上場企業や規制対象企業に対する移行計画の開示要求を強化することを目指していると述べている。
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(参考記事)New ‘gold standard’ for climate transition plans