10月13日、気候変動に焦点を当てた投資家向けイニシアティブであるクライメート・アクション100+(CA100+)は、世界最大の温室効果ガス(GHG)排出企業の排出削減目標、脱炭素戦略、気候変動開示慣行を検証する最新のネット・ゼロ企業ベンチマーク評価ラウンドの結果を発表した。
本評価では、主要な排出企業は引き続きネット・ゼロのコミットメントを設定しているが、多くの企業は脱炭素化目標に見合った移行戦略の設定に進んでいないことが示された。
2017年に開始されたClimate Action 100+は、68兆ドル(約1京円)以上の資産を代表する700の投資家が参加する投資家イニシアティブで、世界最大の企業の温室効果ガス排出者を対象に、気候変動に対して必要な行動を取ることを促進し、世界の平均気温上昇を1.5度に抑えるために、事業戦略をネット・ゼロに整合させることを目的としている。
ネット・ゼロ・カンパニー・ベンチマークは、温室効果ガス排出量の削減、ガバナンスの改善、気候関連の財務情報開示の強化という3つのハイレベルな取り組み目標に対する個々のフォーカス企業のパフォーマンスを、投資家に詳細に比較評価させるために、昨年導入されたものである。
評価では、短期・中期・長期の排出量目標設定、脱炭素化戦略、気候政策への関与、情報開示、資本配分の調整など、さまざまな指標に基づき、CA100+の対象企業159社の進捗を測定している。
今回の評価は、3月の第1回評価に続き、ベンチマーク開始以来2回目の実施となる(CA100+は、企業報告との整合性を高めるため、今後は10月に評価を実施すると発表している)。CA100+は、アセスメントの間隔が短いにもかかわらず、1.5℃のパスウェイに沿った長期目標を持つ企業が9ポイント以上増加し、2050年のネット・ゼロを約束する企業が3月の69%から75%に増加するなど、一部の分野でいくつかの企業で進展が見られることを確認した。
しかし、CA100+の評価では、企業の野心と信頼できる移行戦略や行動はまだ一致しておらず、設備投資計画を排出量目標と完全に一致させると約束した企業はわずか10%であることに留意している。また、石油・ガス関連企業の60%以上が、2021年に地球温暖化を2℃未満に抑制することと矛盾するプロジェクトを認可していることがわかった。
また、評価では、注力企業の情報開示が継続的に改善されており、91%がTCFDの勧告に沿ったものとなっている。少数の企業が、2050年までにネット・ゼロエミッションを達成するという仮定を用いた場合の財務諸表への感応度を初めて提供し、CA100+はこれを「気候変動を重要リスクとみなす正しい方向への大きなステップ」と呼んでいる。
【参照ページ】
(原文)CLIMATE ACTION 100+ NET ZERO COMPANY BENCHMARK SHOWS CONTINUED PROGRESS ON NET ZERO COMMITMENTS IS NOT MATCHED BY DEVELOPMENT AND IMPLEMENTATION OF CREDIBLE DECARBONISATION STRATEGIES
(日本語訳)気候変動対策100+ネットゼロ企業ベンチマークでは、ネットゼロのコミットメントの継続的な進展が、信頼できる脱炭素戦略の開発と実施に追いついていないことが示された