10月17日、スイス政府は、クリーンな交通や生物多様性などの環境目標を支える支出に充てるため、7億6600万スイスフラン(約1,140億円)を調達し、初のグリーンボンドの発行を完了したと発表した。
発行後の声明で政府は、今後定期的にグリーンボンドを発行し、年間数億フランの発行額を目指すとともに、将来的にはグリーンボンドをスイス連邦債の特定の構成要素とすることを目指すと述べている。
今回の募集は、昨年末にスイス政府がグリーンボンドの発行を開始する意向を表明し、8月に「スイス連邦グリーンボンドフレームワーク」を発表したことを受けて行われたものだ。同フレームワークでは、グリーンボンドによる資金調達の対象となる支出分野の概要が示されており、クリーンな輸送、農業、森林管理、自然景観と生物多様性、グリーンビルディングとエネルギー効率、再生可能エネルギー、国際協力と研究、イノベーションと意識向上などのカテゴリーが挙げられている。
スイス連邦政府による投資家へのプレゼンテーションでは、連邦環境局のカトリン・シュネーベルガー局長と連邦金融局のサビーネ・ダメリオ・ファベス局長が、気候変動と生物多様性の損失という2つの主要課題に焦点を当てたスイスの環境戦略および目標について概要を述べた。スイスは、2050年までに排出量ゼロを目指す気候戦略や、生物多様性、生態系、遺伝子の多様性を保全するための行動計画を採択している。
スイス連邦は、グリーン支出として約45億スイスフラン(約6,700億円)を特定し、その一部を新グリーンボンドで賄うと発表した。投資家向けプレゼンテーションによると、最大のグリーン支出項目は「クリーンな輸送」で32億スイスフラン(約4,800億円)以上となり、ゼロエミッションの鉄道やバス輸送、インフラなどの分野が含まれる。2番目に大きいカテゴリーは「農業、林業、自然景観、生物多様性」で、約9億スイスフラン(約1,350億円)とされている。
新しいグリーンボンドは2038年に満期を迎え、利回りは1.465%で発行された。募集には応募が殺到し、約10億ドル(約1,490億円)の入札があった。
【参照ページ】
(原文)The Swiss government’s first green Confederation bond