2024年9月にデロイトが実施した「ConsumerSignals Survey」は、気候変動を緊急事態と捉え、自らの行動を変えようとする消費者が一定数存在することを明らかにした。本調査では、世界20カ国の20,000人を対象に、気候変動に対する認識や行動、そして消費行動の変化が詳細に分析された。
調査対象者の56%は、過去6カ月以内に気候関連の極端な気象現象を少なくとも1回経験したと答えた。この割合は、特に南アフリカ、ブラジル、メキシコ、インドといったグローバルサウス地域で高い数値を示している。2024年が史上最も暑い年となったことを踏まえると、この現象は今後も拡大する可能性がある。
また、気候変動を「緊急事態」と捉える消費者は依然として多数派であり、2021年以降この傾向は大きく変わっていない。調査によれば、気候変動を緊急の問題と考える人々は、そうでない人々と比較して、より積極的に行動を変えていることが明らかになった。このような意識の高まりは、個人の消費行動だけでなく、企業や雇用主に対する期待にも反映されている。一方で、気候変動に関する意識の変化には世代間の違いも見られる。若い世代、特に18歳から34歳の人々は、怒りや悲しみ、無力感といった感情を持つ割合が高く、それが気候変動への行動を促進している可能性がある。一方、55歳以上の世代では、気候変動への感情的な関与が比較的低い結果となった。
こうした意識の違いは、生活の選択にも影響を与えている。調査によれば、若い世代の39%が気候変動の影響を避けるために住む場所を変えることを検討していると答えている。この数値は、35歳から55歳の28%、55歳以上の14%と比較しても非常に高い割合を示しており、若い世代が将来の生活設計において気候変動を重要視していることがうかがえる。
さらに、サステナブルな消費行動も注目すべきポイントだ。過去4週間以内にサステナブル商品を購入したと回答した人は47%であり、2021年以降この割合は安定している。特に、サステナブル商品やサービスの購入においてコストが最大の懸念事項とされる中でも、環境に配慮した選択を続ける消費者の存在は企業にとって重要な示唆を与える。経済的なトレードオフを受け入れながらも持続可能な商品を選ぶこの層は、企業に対し、価格だけでなく環境価値を重視した商品提供を求めている。
加えて、職場における気候変動への取り組みについても、消費者は強い期待を抱いている。63%の回答者が、自分の雇用主が気候変動対策に十分な取り組みを行っていないと感じており、21%はよりサステナブルな企業で働くために転職を検討していると答えた。また、39%の回答者は雇用主に気候変動や環境問題について公的に発言してほしいと望んでいる。このような結果は、企業が気候変動に対する積極的な姿勢を示すことが、消費者や従業員の支持を得る上で不可欠であることを強調している。
デロイトの調査結果が示すのは、気候変動が個人や企業の意思決定に深く影響を与える時代が到来したという現実だ。若い世代の意識変化やサステナブル消費行動の定着、そして雇用主への期待は、企業が気候変動対策を戦略の中心に据える必要性を強く示している。
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(原文)Sustainability has staying power