マイクロソフト、スペイン・アラゴン州で再エネ調達拡大 ZelestraとPPA締結、ECODESと地域支援策も

11月24日、マイクロソフトは、スペイン北東部アラゴン州で建設中の太陽光発電プロジェクトから再生可能エネルギーを調達するため、再エネ事業者 Zelestra と電力購入契約(PPA)を締結したと発表した。同時に、地域非営利団体 ECODES と協働し、地域社会向けの環境・社会プログラムへの支援も進める。

契約対象は、Zelestra がサラゴサ県で開発している Escatrón II と Fuendetodos II の2件で、合計出力は95.7MW(交流)。マイクロソフトは両施設が生み出す電力を長期で購入し、欧州でのクラウド事業拡大に伴う電力需要の脱炭素化を加速する。同社は2030年までのカーボンネガティブ達成を掲げており、欧州での再エネPPA締結はその中核施策のひとつとなる。

今回の取り組みの特徴は、PPAに連動した「コミュニティ・ベネフィット」プログラムにある。アラゴン州に拠点を置く ECODES が基金の運営を担い、地域住民による環境改善や脆弱なコミュニティ支援、持続可能なインフラ整備、地域団体の能力強化などに助成を行う。マイクロソフトのデータセンター事業で掲げる「Community Pledge(地域貢献誓約)」の実践として位置づけられ、Zelestra の「3E(Education, Energy, Environment)」戦略とも方向性が一致する。

マイクロソフトのエオイン・ドハーティ氏(EMEA地域クラウド運営責任者)は「アラゴン州で事業を拡大するなか、地域の繁栄と持続可能性に貢献することは不可欠だ。再エネの調達と社会投資を組み合わせる今回の枠組みは、その理念を形にするものだ」と述べた。Zelestra のスカーレット・アルバレス氏(最高ステークホルダー&サステナビリティ責任者)も「地域コミュニティに長期的な価値をもたらす取り組みだ」と強調する。ECODES のフォロンダ氏は「地域の声を反映し、移行の恩恵を最も必要とする人々に届ける」と語った。

Zelestra は米国・欧州・インドなどで約32GW規模の再エネ事業を展開し、EQTの支援を受け大規模開発を加速している。今回の三者連携は、再エネ調達と地域社会投資を同時に推進する新たなモデルとして注目されそうだ。

(原文)Zelestra and ECODES collaborate with Microsoft to deliver clean energy and social impact in Aragón, Spain

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