AIによる山火事予防と送電網レジリエンス強化、Overstory、シリーズBで4,300万ドルを調達

11月25日、送電網の植生リスク管理を手がけるOverstoryは、シリーズBで4,300万ドルの資金調達を完了したと発表した。欧州の気候テック投資会社Blume Equityが主導し、Energy Impact Partnersや既存投資家が参加した。調達資金はAIベースのリスクモデルの高度化、山火事予防ソリューションの拡充、グローバル展開の加速に充てられる。同社は衛星データとAIを活用し、送電網周辺の樹木や植生が持つリスクを詳細に分析して電力会社に提供している。

電力会社にとって、植生管理は停電や山火事の最大要因であると同時に、運用コストでも最大規模の支出項目となる。気候変動に伴う極端気象の増加や樹木の大量枯死、労働コストの上昇が続く中、Overstoryの技術は停電防止と山火事リスク低減、そして送電網の信頼性向上に直結する。PG&Eの山火事対策部門の幹部は「衛星とAIによる植生インテリジェンスが、電力会社の山火事対策の考え方を根底から変えている」とし、データ精度が現場の迅速な判断を支えていると述べた。

Blume Equityは投資理由として、気候課題の解決と経済価値の両立を可能にする事業モデルを高く評価した。Overstoryは創業7年で急成長し、現在は南北アメリカの大手電力会社10社のうち6社にサービスを提供する規模に拡大している。組織は機械学習、データサイエンス、樹木医、山火事専門家など多様な専門家で構成され、80名超のチーム体制となった。Eventbriteのタマラ・メンデルソーン元CMOが新COOに就任し、次の成長フェーズを主導する。

同社はまた、独自開発の燃料検知モデルを搭載した次世代のWildfire Intelligenceを発表した。従来の公的リスクマップよりも詳細に、火災拡大の恐れが最も高い燃料分布や具体的な対策地点を特定できることが特徴で、山火事を未然に防ぐ精度と実効性が大幅に向上した。フィオナ・スプリュイルCEOは「電力会社は地域社会を守る最前線にいる。より良いデータを求める声に応えるかたちで、嵐や山火事への耐性を高めるためのインテリジェンスをさらに拡張していく」と述べ、送電網のレジリエンス強化に向けた取り組みを一段と進める方針を示した。

(原文)Overstory Closes $43m Series B To Scale AI-Driven Wildfire Prevention And Grid Resilience

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