EUタクソノミーの簡素化を提言――企業の報告負担削減へ

2月5日、EUのサステナブルファイナンスに関するプラットフォーム(Platform on Sustainable Finance)は、EUタクソノミーの簡素化と実用性向上を目的とした報告書を発表した。この報告は、過去2年間のタクソノミー適用経験を踏まえ、企業や金融機関の報告負担を削減するための具体的な施策を盛り込んでいる。この報告書は、欧州委員会が2025年2月に公表を予定しているCSRD・CSDDD・タクソノミーの簡素化「オムニバス草案」に影響を与える可能性があり、重要な指針を提供するものとなるだろう。

企業の報告負担を1/3以上削減へ

本報告書は、企業の報告負担を軽減するために、主に以下の提案を行っている。提案がすべて反映された場合に、報告業務の1/3以上が削減されるとしている。

  1. KPI(Key Performance Indicators)の簡素化 企業の持続可能性評価におけるKPIの適用を見直し、業種ごとに適切な指標を設けることで報告義務を合理化。
  2. 金融機関向けのグリーン資産比率(GAR)の合理化 金融機関が投資ポートフォリオにおけるグリーン資産の比率を算出する際の計算方法を簡素化し、より実態に即した形へと修正。
  3. DNSH(Do No Significant Harm)基準の簡略化 企業が環境に悪影響を与えないことを証明するDNSH基準について、より明確で簡単な手続きへと見直すことで、コンプライアンス負担を軽減。
  4. 中小企業(SMEs)の持続可能金融へのアクセス向上 SMEsに対するタクソノミー適用を緩和し、持続可能な投資資金へのアクセスを容易にする枠組みを提案。

EUタクソノミーの要点解説:2025年の変化と日本企業が取るべき戦略

欧州委員会による規則見直しへの期待

これらの提言を受け、欧州委員会はEUタクソノミーの規則を見直し、実際の法規制や指針に反映させることが期待されている。特に、タクソノミーの適用が企業や金融機関にとって過度な負担にならないようにすることが重要視されており、本報告書はその実現に向けた重要な指針と位置付けられ注目されている。オムニバス草案は明らかになっていないが、タクソノミーの簡素化に関して、報告書の内容が考慮された場合、より実用的なフレームワークに進化するだろう。

【参照ページ】
(原文)Platform on Sustainable Finance report: Simplifying the EU taxonomy to foster sustainable finance
(日本語参考訳)持続可能な金融に関するプラットフォーム報告書: 持続可能な金融を促進するために EU タクソノミーを簡素化

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