
4月11日、炭素除去(CDR)プロジェクト開発の先駆者であるCO280は、米国の製紙工場から排出されるバイオ起源のCO₂を回収・地中貯留する新プロジェクトにおいて、マイクロソフトとCDRオフテイク契約を締結したと発表した。契約期間は12年間で、Microsoftは合計368.5万トンのCDRを購入する予定であり、これは技術的CO₂除去契約として過去最大級の規模である。
このプロジェクトでは、既存の製紙工場のボイラー排気からCO₂を回収し、地中に恒久的に貯留する仕組みを採用する。技術提供はCO280のパートナーであるSLB Capturiが担う。CO280は現在10件以上のCDRプロジェクトを進行中で、そのうち5件は2030年までにCDRを提供できる見込みである。
同社の戦略は、米国製紙業界の既存インフラを活用することで、コスト・リスクを抑えつつ迅速なスケーリングを実現するというものである。米国の製紙工場は年間8,800万トンのバイオCO₂を排出しており、同モデルの適用による削減効果は大きい。
また、同業界は持続可能なバイオマス利用にも積極的であり、97%がSFI認証、90%がFSCとSFIの両方の認証を取得している。CO280のプロジェクトは、ボランタリーカーボン市場の厳格な基準に準拠して進められる。さらに、余剰熱や廃バイオマスを活用することで、エネルギー効率と環境負荷低減の両立も図っている。
米国にはCO₂貯留に適した地質が多く、製紙工場の75%以上が貯留候補地から100マイル圏内に位置する。CO₂輸送・貯留インフラの整備も進んでおり、持続可能な産業インフラ構築が可能となっている。
この契約により、気候変動対策が進むと同時に、製紙業に依存する地域経済の活性化と雇用創出が見込まれる。CO280は長期的CDR契約を通じて数十億ドル規模の投資を呼び込み、持続可能な経済成長と地域支援に寄与していくとしている。