サステナブル投資の拡大を予測、機関投資家の8割超(モルガン・スタンレー調査)

11月20日、モルガン・スタンレー・インスティテュート・フォー・サステナブル・インベスティングは2025年版Sustainable Signals調査を公表した。調査によると、世界の機関投資家の大多数は今後2年間でサステナブル投資の比率を引き上げる意向を示した。回答した資産運用会社の79%、資産保有者の86%が、持続可能性関連の運用資産を増やす見通しを示しており、特に資産保有者では前年から6ポイント増加した。増加の理由として、パフォーマンス面の強さとトラックレコードの確立が挙げられている。

地域別では、北米の資産保有者の90%以上がサステナブル資産の拡大を見込んでおり、欧州(82%)、アジア太平洋(85%)を上回る結果となった。一方で、今年の調査では課題意識の高まりも見られ、38%の回答者がデータの不備、規制の不透明感、政治環境の不確実性などを「極めて重大な懸念」と回答し、2024年の25%から大幅に上昇した。それでもなお、8割以上の資産運用者と資産保有者が、サステナビリティは投資リスク管理の重要な要素であると考えている。

気候適応・レジリエンス投資に対する関心も急速に高まっている。機関投資家の4分の3超が、今後5年間で物理的気候リスクが資産価格に影響を及ぼすと予想し、水インフラ、データ分析、電力網の近代化など、気候影響への耐性を高める分野への投資が拡大している。実物資産への投資において、約半数の投資家が気候レジリエンスをリスク・リターン分析の中心的要素として捉え、さらに42%が案件ごとに考慮すると回答した。

2025年の優先テーマでは、エネルギー効率と再生可能エネルギーが昨年に続き上位を占める一方、気候適応は前年の6位から3位に急上昇した。ただし政策不確実性や評価枠組みの不足、リスクモデルの未整備など、気候適応投資を進める上での障壁も指摘されている。モルガン・スタンレーは、企業・個人投資家の調査結果とも整合するかたちで、機関投資家が気候リスクの現実的影響を認識し、投資方針を進化させていると分析している。

(原文)Most Institutional Investors Maintain Positive Outlook for Sustainable Investments

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