9月13日、世界中の投資家グループは、運用資産39兆米ドル(5,500兆円)の532の機関投資家が署名した声明を公に発表し、気候危機に効果的に対処するために必要な民間資本を活用した野心的な政策を制定するよう各国政府に提唱した。
「2022 Global Investor Statement to Governments on the Climate Crisis 」は、政策提言の点でこれまでで最も野心的な声明であり、世界気温上昇を1.5℃に抑えるという目標に沿って気候野心を高めるよう各国政府に要請している。本声明では、最も野心的な行動として、投資家による気候変動計画の義務付けが求められている。アクションを求めることで、投資家は、企業に対する気候変動規制を求めるだけでなく、金融セクターに対する気候変動開示規制の強化を直接的に求めている。
また、本声明では、メタン汚染への取り組み、気候への適応と回復力、途上国への気候変動資金の拡大など、これまでの声明では取り上げられなかった新しい政策分野も取り上げている。本声明の投資家署名機関は、特に各国政府に対して、気候危機への対応に必要な数兆ドルの投資を可能にする5つの優先的政策措置を迅速に実施するよう要請している。 政策提言の全リストは声明に掲載されているが、その要約は以下の通りである。
- 各国政府は、2030年の国別目標が、世界の気温上昇を1.5℃に抑えるという目標に合致していることを確認する。
- 2030年の温室効果ガス排出量を1.5℃に抑えるという目標に沿うよう、実体経済全体で国内政策を実施し、早期に行動を起こす。
- 二酸化炭素以外の温室効果ガス排出量の削減に貢献し、2030年までに排出量を2020年比で少なくとも30%削減するという「Global Methane Pledge」の効果的な実施を支持する。
- 途上国のニーズに焦点を当て、緩和、適応、回復のための官民双方からの気候変動資金の提供を拡大する。
- 金融システム全体における気候に関する情報開示を強化する。
本声明は、すでに39兆ドル(5,500兆円)の運用資産を持つ投資家から532の署名を集め、11月の国連気候会議(COP27)まで署名受付を継続する予定である。
【参照ページ】
(原文)More than 500 institutional investors from around the world join forces to urge governments to step up climate policy ambition
(日本語訳)世界各国の機関投資家500社以上、各国政府に気候政策の野心向上を要請