7月14日、信用格付会社Fitch Ratingsは、報告書において小売業における長期的な低炭素化リスクへのエクスポージャーを検証した気候変動脆弱性スコアを発表した。本報告書では、アパレルと耐久消費財・家電(DGCE)部門が気候リスクに対して最も脆弱であるとされている。
Fitchの気候変動脆弱性スコアは、2025年から2050年にかけての急速な低炭素化に対するセクター、企業、債券の信用度への影響について、同社の見解を示したものだ。 Fitchによると、本スコアは、移行リスクを長期的に捉え、異なる満期や戦略の商品への影響を認識し、これらのリスクを管理し、証券選択、ポートフォリオ管理、リスク管理、モニタリングおよび報告を支援するための投資家のニーズに応えるために開発された。
Fitchは当初、公益事業、石油・ガス、化学部門を対象とした気候変動脆弱性スコアを昨年発表した。最近、自動車製造、航空宇宙・防衛、輸送、テクノロジー・メディア・通信を追加し、スコアをすべての部門に拡大する計画を発表している。
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新しい報告書によると、小売部門は気候変動による影響が最も少ない部門のひとつで、特に食品とオンライン小売部門の企業は、エネルギー転換、廃棄物削減、持続可能な包装に関する規制への適応度が概して高いと判明した。
しかし、アパレルとDGCEの企業は、より脆弱であるとFitchは指摘している。アパレル企業は、炭素価格の上昇による原材料費の高騰や、廃棄物削減や循環型経済に関する政府の要求事項を満たすための生産プロセスの変更などにより、コスト上昇を転嫁することが難しい。アパレル業界の排出量の大部分はバリューチェーンに由来するものだが(小売業者の場合はスコープ3の排出量)、Fitchは「小売業者はサプライヤーの排出量削減努力への資金提供に参加する可能性がある」と指摘している。
DGCE企業については、低炭素経済への移行により、小売業者はより持続可能な素材を使用し、修理性や耐久性が向上した製品に移行する必要があるという。Fitchは、中古品やシェアリングエコノミーの台頭、耐用年数の長い製品への移行、消費者の好みの変化などにより、この分野の需要にリスクがあると見ている。
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Apparel, Durable Goods Retail Most Vulnerable to Climate Risk