6月17日、世界最大の資産運用会社であるBlackRock(ブラックロック)は、米国証券取引委員会(SEC)が提案した気候関連開示規則に対して、スコープ3の排出量報告や重要性の考慮などの分野で異なるアプローチを推奨するなど、一連の変更案を発表した。
SECは今年3月に気候関連開示規則案を発表し、米国企業に初めて、企業が直面する気候リスクとそのリスクへの対処計画に関する情報、およびスコープ1、2、場合によってはスコープ3の温室効果ガス(GHG)排出量を含む企業の気候フットプリントの詳細を示す指標の提供を義務付ける予定である。
本提案は、当初60日間の意見募集が行われ、その後6月17日まで延長された。
ブラックロックは、過去数年にわたり、投資業界において、気候関連報告の改善と標準化のための主要な提唱者となっている。同社は、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の創設メンバーであり、その提言は、気候情報開示に関する新たな規制や基準の大半を形成する基礎となっている。
ブラックロックが行った重要な提言の一つは、SECの規則とTCFDの枠組みとの整合性を高めることであり、SECの提案がTCFDが推奨する以上の詳細な財務開示を要求している分野があることを指摘している。同文書によれば、SECの要求事項は、企業が新規則に準拠するためのコストを増加させ、企業間や地域間の比較可能性を低下させるとしている。
もう一つの大きな違いは、SECがスコープ3排出量の報告を求めていることだ。スコープ3排出量は、多くの企業のC02排出量の大部分を占めている。SECのスコープ3要件は他の新しい開示制度に比べて規範的ではないものの、ブラックロックは、企業がスコープ3のリソースや報告能力を開発する機会を与えるために、「年次及び四半期報告書におけるスコープ3の完全開示を義務付けるのではなく、『遵守または説明』に基づく規則制定への柔軟なアプローチ」を提唱している。
また、ブラックロックは、企業の気候変動リスク管理についての透明性を不用意に阻害しないよう、内部炭素価格、シナリオ分析、移行計画の目標、企業がこれらの手段を採用している場合のゴールなどの特定の事項について、報告を求めるSECの提案を変更するよう提案している。