6月8日、カナダ政府は、温室効果ガス(GHG)の排出を防止または除去するプロジェクト開発・実施の支援を目的とした、新しいGHGオフセット・クレジット制度の開始を発表した。
本制度は、カナダ政府が今年初めに発表した「2030年排出削減計画」の一部をなすもので、カナダの気候変動に関する暫定目標を達成するために、炭素価格やクリーンエネルギーの拡大、炭素回収の開発、ゼロエミッション車の奨励など、幅広い取り組みが盛り込まれている。カナダは昨年、2030年までに温室効果ガスを40~45%削減する目標を導入し、2050年までに排出量ゼロを目指す同国の公約の最初の主要ステップを形成している。
本制度では、連邦政府のオフセットプロトコルに基づき、特定の種類の排出削減プロジェクトを実施する登録参加者は、クレジットを生成し、他の企業や組織に売却することで、自らの遵守義務やネットゼロ公約などの環境目標の達成を目指す。また、削減・除去された排出量1トンにつき1つのクレジットを生成する。
開始された最初の連邦プロトコルのカテゴリーである埋立メタン回収・破壊プロトコルは、自治体やその他の埋立事業者が、埋立地の排出物の破壊や、エネルギーへの排出物再利用によってオフセット・クレジットの生成を可能にするものだ。廃棄物からの温室効果ガスは、カナダのGHG排出量の7%を占めている。
カナダは現在、このほかにも4つのプロトコルを開発中で、冷凍システムからの排出削減・森林管理の改善・土壌有機炭素の強化・家畜飼料管理など、オフセット・クレジット創出対象プロジェクトの範囲を広げている。また、今夏以降には、直接空気捕集・貯留のためのオフセット・プロトコルの開発が開始される予定である。
【参照ページ】
(原文)Canada’s Greenhouse Gas Offset Credit System
(日本語訳)カナダ、GHG削減プロジェクトへの投資を促進するため、排出権オフセットプログラムを開始