ポルシェ、低炭素鋼の契約に調印

ポルシェ、低炭素鋼の契約に調印

10月31日、高級スポーツカーメーカーのポルシェAGは、スウェーデンの新興企業であるH2グリーンスチールとの間で、ポルシェ車の排出量削減を目的とした低炭素鋼を年間最大3万5,000トン供給する新たな契約を締結したことを発表した。

2026年に出荷が開始される本契約は、ポルシェの鋼材供給の大きな割合を占めることになり、ポルシェの車両に使用される鋼材の総量は昨年20万トンに達した。

ポルシェは2021年に、2030年までに自社の価値を純カーボンニュートラルにするという目標を設定した。同社は車両に使用するスチールの割合を減らし、軽量構造のためにアルミニウムへの依存を強めているが、スチールはその機械的特性から、スポーツカーの構造にとって依然として重要な素材であると述べている。

製鉄は世界的に最もCO2を排出するセクターのひとつであり、このセクターからの温室効果ガス総排出量(GHG)は、化石燃料の世界的な使用による直接排出量の7%〜9%を占めている。

2020年に設立されたH2グリーン・スチールは、スウェーデンのボーデンに主力となるグリーン・スチール・プラントを開発中で、このプロジェクトには、鉄鋼生産施設と一体化したギガスケールのグリーン水素プラントが含まれている。同社は、酸化鉄から酸素を除去するためにグリーン電力で製造された水素を採用し、通常発生するCO2排出の大部分を回避し、製造工程で発生するエネルギー需要には100%再生可能な資源からの電力を使用する。

H2グリーンスチールによると、その製造工程では、原料炭を使用する従来の鉄鋼生産に比べ、CO2排出量が最大95%削減されるという。

H2グリーンスチールは9月、新工場の建設資金として15億ユーロ(約2,391億円)を調達したと発表した。同社は2025年の生産開始を目指しており、2030年までに500万トンのほぼ化石燃料を使用しない鉄鋼を生産する計画だ。

ポルシェは、H2グリーンスチールを購入する自動車業界の最新企業であり、最近の契約にはボルボ、スカニア、メルセデス・ベンツ、BMWも含まれている。

【参照ページ】
(原文)H2 Green Steel 
(日本語参考訳)H2グリーンスチール

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