G7、水素の普及と電力セクターの脱炭素化を約束

G7、水素の普及と電力セクターの脱炭素化を約束

5月27日、ベルリンで開催されたG7気候・エネルギー・環境相会合で、各国経済の脱炭素化を加速し、世界のネット・ゼロ目標推進を目的とした一連のコミットメントが発表された。本声明では、来年半ばまでにエネルギーグリッドを大幅に脱炭素化し、低炭素水素、特に脱炭素化が難しい分野での利用を促進するための取り組みを約束した。また、今回の会議では、石炭火力発電の段階的廃止を初めて約束した。

サミットには、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国、EUのG7諸国のエネルギー・気候担当者が参加した。今年は「気候変動、生物多様性の損失、汚染の3つの世界的危機」に対する行動と、ロシアのウクライナ侵攻がエネルギー安全保障に与える影響に焦点を当てた。

今回の会議では、2035年までの電力セクターの脱炭素化を約束した。公式声明では、目標達成に向けた優先事項として、初めて石炭発電の段階的廃止を掲げた。

また、G7水素行動協定も発表され、低炭素・再生可能水素バリューチェーンの開発加速、再生可能水素の製造・取引・輸送・使用を促進するための規制的枠組みと基準の加速、低炭素・再生可能水素バリューチェーンの立ち上げのためのギャップの特定と解消を約束した。

G7会合のその他の新しいコミットメントと行動には、以下内容が含まれる。

  • 2030年までに「高度に脱炭素化された」道路部門を実現する誓約
  • 2025年までに適応のための途上国への気候資金の提供を倍増する計画(2019年基準)
  • 産業の脱炭素化を支援するために、ゼロ・エミッションに近い鉄鋼とセメント生産の統一的な定義を確立する合意
  • “化石燃料補助金はパリ協定の目標とは矛盾している “という認識

また、今年末までに化石燃料エネルギーへの直接的な国際的公的融資を終了すると改めて表明し、日本も初めてこの誓約に参加した。

【参照ページ】
G7 Climate, Energy and Environment Ministers’ Communiqué

関連記事

“CSAセミナー"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. ESRS開示の実態調査(2024年上半期)から見えた企業が抱える共通課題とは

    2025-4-1

    ESRS開示の実態調査(2024年上半期)から見えた企業が抱える共通課題とは

    CSRD(企業サステナビリティ報告指令)のオムニバス草案が提出され、欧州の開示規則が変わる中、20…
  2. ESGフロントライン:潮流を読む~SEC気候開示規則の弁護を放棄ー規制後退の中で問われる企業の姿勢と対応

    2025-3-31

    ESGフロントライン:潮流を読む~SEC気候開示規則の弁護を放棄ー規制後退の中で問われる企業の姿勢と対応

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-3-27

    【GPIF発表】「優れた統合報告書」と「改善度の高い統合報告書」選定結果

    3月11日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、国内株式の運用を委託している運用機関に対…

““登録02へのリンク"

ページ上部へ戻る