3月9日、トロントドミニオン(TD)バンクグループはエネルギーおよび発電セクターにおける2030年の目標を発表し、セクター別の中間融資による排出量削減目標を初めて設定した。この新たなコミットメントは、同行の気候変動対策の方法論とESG報告一式を詳述した新しい文書の発表と同時に発表された。
金融機関の気候変動への影響は、通常、融資活動が大部分を占め、融資による排出量は運用による排出量の数百倍にもなることがある。TDは、温室効果ガス(GHG)の排出量が多く、世界のエネルギー供給を低炭素化することに貢献できるとして、エネルギーと発電の分野を優先したと発表している。
TDの新しい目標には、石油・ガスの探査、輸送、精製に携わる顧客や、一般炭の採掘、低炭素燃料・技術に携わる顧客を含むエネルギー部門のポートフォリオからの2030年の排出量削減と、発電部門の顧客からの融資による排出量の58%削減が含まれている。
この新しい中間目標は、2050年までに事業および金融活動全体でネット・ゼロ・エミッションを達成するというTDの戦略の一環を成すものだ。TDは、2020年にネット・ゼロ・コミットメントを含むグローバル気候行動計画を開始し、Partnership for Carbon Accounting Financials(PCAF)、Net Zero Banking Alliance(NZBA)、RMIの気候変動金融センターなど、金融機関からの排出量の測定と削減に取り組む複数の組織にも参加している。
TDは気候変動対策の詳細を記した文書の中で、追加的なセクターについて目標を設定するつもりであると述べ、目標設定の方法を融資や資本市場金融活動以外にも拡大し、時間をかけて新たな事業活動をカバーしていく予定であると述べている。
【参照ページ】
(原文)TD sets 2030 interim financed emissions targets for high-emitting sectors: Energy and Power Generation
(日本語訳)TD、気候行動計画を発表、エネルギー・電力部門のスコープ3排出量目標を公表