ICMA、欧州グリーンボンド規則の修正案に対し警告 サステナブルボンド市場への悪影響を懸念
1月5日、国際資本市場協会(ICMA)は、欧州委員会が主導するグリーンボンド市場の規制に関する修正案について、EUのサステナブルファイナンスのリーダーシップが失われ、サステナブルボンドの広い国際市場に混乱をもたらす可能性があるという分析を発表した。
ICMAの分析は、欧州議会にて提案された欧州グリーンボンド(EuGB)規則の修正案について言及している。この規制提案は、より持続可能な金融システムを促進し、EUおよび世界の気候変動に関する目標を達成するために必要な投資の促進を支援するために欧州委員会が採用した一連の取り組みの一環であり、近代的で資源効率の高い競争力のある経済への転換を図るEU戦略、欧州グリーンディールの目標に向けて大きく前進したことを示すものである。
提案されたグリーンボンドルールは、企業や公的機関が資本市場での資金調達にグリーンボンドを利用する方法について「ゴールドスタンダード」を作り、持続可能性に関する厳格な要件を満たし、投資家をグリーンウォッシュから保護しつつ、持続可能な投資の資金調達を促進するために策定されたものである。
7 月に ICMA はこの提案に対応する文書を発表した。その際、EuGBの任意性、および既存の欧州や国際的なグリーンボンド市場との共存を歓迎する一方で、EUタクソノミとの整合性の義務付けはラベルの使いやすさと普及を妨げる恐れがあると警告した。
ICMAによれば、今回の改正に起因する発行体のコストと潜在的な責任の増加は、サステナブルボンド市場にいくつかの重大な悪影響を及ぼす可能性があるという。例えば、発行体が他の市場や他の資金源に目を向けるようになり、市場の縮小やEUサステナブルボンドのリーダーシップを失うことになる。さらにICMAは、この改正によりEUが国際市場とは異なるルールに従うことになり、国際グリーンボンド市場の分断化が進み、国際的なサステナブルファイナンス市場が大きく混乱することになると警告している。
【参照ページ】
(原文)Analysis of the amendments to the EuGB Regulation proposed by the Rapporteur of the EU Parliament
(日本語訳)ICMA、EuGB規則の修正案に対し警告 サステナブル市場への悪影響を懸念