Climate Action 100+、電気事業者向けのネット・ゼロ・セクター戦略を開始
10月20日、気候変動に焦点を当てた投資家参加型イニシアチブ「Climate Action 100+」と気候変動に関する機関投資家グループ「IIGCC」は、「Global Sector Strategies」を発表した。このレポートでは、2050年の世界的なネット・ゼロ目標達成に必要とされる2040年までのネット・ゼロを達成するために、電気事業者に対する投資家の期待をまとめている。
Climate Action 100+は60兆ドル以上の資産を有する615の投資家が参加するイニシアチブで、世界最大の温室効果ガス排出企業を対象に、気候変動に対する必要な行動を促進し、世界の平均気温上昇を1.5度に抑えるためのネット・ゼロに向けた事業戦略を策定している。
Climate Action 100+によると、世界の電力セクターの排出量は全世界の排出量の40%を占めており、どのセクターよりも多いとされている。さらに他の多くのセクターは、それぞれの気候目標を達成するために、電力セクターの低炭素エネルギー源に依存することになる。新しいセクター戦略では、国際エネルギー機関(IEA)が最近発表したグローバルなネット・ゼロ目標に合わせて、世界全体では2040年までに、先進国では2035年までに、電力セクターのネット・ゼロを達成することを想定している。
報告書では、2040年のネット・ゼロ目標(先進国は2035年)の設定に加え、カーボン・キャプチャーやオフセットの使用を最小限に抑えた明確な脱炭素戦略の策定、石炭発電の段階的廃止時期の設定、新規石炭発電投資の即時停止、新規天然ガス発電のネット・ゼロ化の徹底、すべての販売・分散型エネルギーのネット・ゼロ目標の設定などが主な期待事項として挙げられている。また本報告書では、企業が「公正な移行(Just Transition)」に取り組むことを期待しており、ネット・ゼロへの移行による社会的弱者への悪影響を緩和し、より広範な社会的影響を管理することを目指している。また、投資家が優先的にとるべき行動として、規制や政策上の障壁を取り除くための行動を支援することや、特に発展途上国におけるクリーンエネルギーへの投資を拡大することなどを挙げている。
【参照ページ】
(原文)CLIMATE ACTION 100+ SETS DECARBONISATION EXPECTATIONS FOR ELECTRIC UTILITY COMPANIES TO ACHIEVE NET ZERO EMISSIONS GLOBALLY BY 2040
(日本語訳)気候行動100+で電気事業者に期待される脱炭素化、2040年までに世界全体でネット・ゼロ・エミッションを達成