自動車メーカーのBMWグループは、スウェーデンの新興企業であるH2 Green Steel(H2GS)社と、2025年から化石燃料を使用せずに生産された鉄鋼を調達する契約を締結した。BMWによると、H2GS社の鉄鋼生産は、従来の方法に比べてCO2排出量を最大95%削減しており、今回の契約はサプライチェーンの排出量を大幅に削減するという同社の取り組みを支援するものだ。
2020年に設立されるH2GS社は、スウェーデン北部に世界初の大規模な脱化石製鉄所の建設を目指しており、そのプロジェクトには、ギガスケールのグリーン水素プラントが鉄鋼生産施設の一部として組み込まれています。グリーン電力で製造した水素を用いて酸化鉄から酸素を除去することで、通常発生するCO2の95%を回避することができます。H2GS社は、製造工程で必要となるエネルギーに100%再生可能な資源からの電力を使用し、2030年までに500万トンの脱化石鋼の生産を目指します。
製鉄業は、世界で最もCO2を排出している企業の一つであり、このセクターからの温室効果ガスの総排出量は、世界の化石燃料の使用による直接排出量の7〜9%を占めています。世界のメーカーがサプライチェーンの脱炭素化を目指す中、脱化石燃料の鉄鋼の需要が大幅に増加することが予想されます。
両社は、グリーン電力を使用して生産された鉄鋼を提供するだけでなく、天然資源を保護しながら原材料を何度も使用可能なクローズドループの材料サイクルを作ることにも合意している。二次加工された鉄鋼は、製造に必要なエネルギーが少ないため、一次加工された素材と比較してCO2排出量が平均50~80%削減される。
今回の合意は、BMWが先月発表した、ライフサイクルを通じた車両の排出量削減、循環型経済への取り組み、2030年までにリサイクルおよび再利用可能な材料の使用を50%増やすという新たな目標を掲げた、気候変動対策の取り組みの拡大に続くものです。
【参照ページ】
(原文)Harnessing wind and hydroelectric power from the Arctic Circle: BMW Group plans to source steel produced with green power and hydrogen from northern Sweden
(日本語訳)BMW、化石燃料を使用しない鉄鋼を調達し、車両のCO2排出量削減を実行