ZEH定義を刷新、省エネと再エネの自立性向上を狙う — 経産省が新基準を発表

5月12日、経済産業省資源エネルギー庁は、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の定義を大幅に見直す方針を示した。これは、第48回省エネルギー・新エネルギー小委員会にて明らかにされたもので、ZEHの要件に「更なる省エネ性能の引き上げ」と「自家消費型太陽光発電の導入」が新たに加えられる。

家庭は国内CO2排出量全体の約15%を占めており、住宅の省エネ化強化することが必要である。第7次エネルギー基本計画では、2050年にストック平均(既築・新築両方)でのZEH水準の省エネ性能(標準的な住宅と比較して20%の省エネ)の確保を目指すこととしている。また、これに至るため、2030年度以降に新築される住宅についてはZEH水準の省エネ性能の確保を目指すこととしている。今回の定義見直しは、2030年、2050年の目標を踏まえ、省エネ性能牽引の担い手であるZEHに、今後より高い省エネ性能を求めるために行われた。経産省は、家庭部門の脱炭素化を進める第一歩として、ZEHの普及と高性能化は不可欠であると考えており、より高性能なZEHの導入支援や、既存住宅の改修促進も視野に入れているという。

新たな定義では、断熱等性能等級6(外皮平均熱貫流率0.46以下)の確保に加え、再エネ自家消費を促進する設備の導入が求められる。その対象設備としては、5kWh以上の蓄電池、高度エネルギーマネジメントなどが挙げられている。蓄電池については再エネ発電を貯めて使うことで自家消費を促し、エネルギー自給率を向上させる狙いが、高度エネルギーマネジメントの導入には、発電量やエネルギー使用量を把握したうえで、複数機器の統合制御により省エネや自家消費・DRへの貢献を促す狙いがある。

この新定義は、住宅事業者や設備メーカーに対して省エネ・再エネ分野での新たな技術開発と市場創出を促す契機となる。政府は今後、ZEHの性能基準や支援制度のさらなる具体化を進めるとしており、住宅・建築分野における脱炭素化の加速が期待される。新定義は2027年度から新規認証を開始する予定で、現行の定義は2027年度を期限に新規認証の停止を予定している。

(原文)更なる省エネ・非化石転換・DRの促進に向けた政策について

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