J4CEが2024年版「注目事例集」を発表

2月10日、循環経済パートナーシップ(J4CE)は、最新の「注目事例集」を発表した。この事例集は、日本国内の企業や自治体が推進する先進的な循環経済の取組を紹介するものであり、持続可能な社会の実現に向けた最新の動向を反映している。今年の事例集では、プラスチックリサイクル、資源循環プラットフォームの構築、建設副産物の再資源化といった幅広いテーマが取り上げられ、特に企業間連携によるイノベーションが際立った。

J4CEは、環境省、経済産業省、日本経済団体連合会(経団連)によって設立された官民連携の枠組みである。発足以来、日本企業が循環経済への移行を加速できるよう、政策の共有や事業者間の協力促進に取り組んできた。2024年版の事例集では、企業の自主的なリサイクル活動や新技術の導入、自治体との協力による資源循環モデルの確立といった具体的な事例が数多く紹介されている。

今年の事例の中でも、特に注目されたのが「つめかえパックの水平リサイクル」だ。花王株式会社とライオン株式会社が協力し、使用済みのつめかえパックを回収し、新たなつめかえパックとして再生する取組を本格化させた。イトーヨーカ堂やウエルシア薬局の店頭回収を活用し、消費者参加型のリサイクルモデルを構築したことが特徴である。また、物流会社のハマキョウレックスが配送の帰り便を活用し、効率的な回収システムを構築したことで、経済的にも持続可能な仕組みとなった。

また、世界初の技術として注目されたのが、DIC株式会社とエフピコ株式会社によるポリスチレン製品の完全循環リサイクルだ。従来のリサイクルでは難しかった色付き発泡トレーを溶解分離技術(Dic法)で処理し、再生可能なポリスチレンとして活用する技術を開発。従来の「トレーtoトレー」リサイクルをさらに進化させる試みとして期待が高まっている。

J4CEの事例集には、紙おむつのリサイクル、廃車由来のプラスチックを再資源化する「Car to Car」リサイクル、建設現場の廃材を活用するシステムなど、多岐にわたる取組が含まれている。いずれも、単独の企業による取組ではなく、複数の企業や自治体が協力することで実現した事例ばかりだ。

J4CEは、今回の事例集発表を通じて、企業間連携の重要性を改めて強調している。日本国内にとどまらず、国際的にも循環経済の動きが加速する中で、日本の企業が先進的な技術とビジネスモデルを活用し、持続可能な社会づくりに貢献していることを示す内容となった。今後、この事例集を通じて、より多くの企業が循環型社会の実現に向けた取組を加速させることが期待される。

【参照ページ】
(原文)注目事例集(2024)公開のお知らせ

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