ヒューマンライツ・ナウ、ネット大手6社に人権調査。国際水準を下回る結果

9月14日、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ(HRN)は、日本国内インターネット・SNS関連事業者大手6社に対する人権アンケートの調査結果を発表した。調査結果によると、対象企業の多くがビジネスと人権に取り組む必要性を十分に認識しておらず、国際水準下回っていることが明らかになった。

対象となったのは、アマゾン・ジャパン、グーグル日本法人、ツイッター・ジャパン、メタ・ジャパン、ヤフー、LINEの6社。グーグル日本法人、ツイッター・ジャパン、メタ・ジャパンの3社は無回答だった。アマゾン・ジャパンは個別の質問に対して直接回答せず、同社グローバル全体でのサステナビリティ関連の取り組みをまとめたホームページとサステナビリティレポートによる回答に留まった。

本アンケートは、2021年6月から11月と、2023年1月から2月の2回実施。インターネットに関連する人権リスクとして、誹謗中傷、ヘイトスピーチ、ネットいじめ、児童ポルノ、オンライン・ハラスメント、性行為動画・画像の不同意拡散等を挙げ、これらへの対策方針を尋ねた。

質問に回答したヤフーとLINEについては、親会社のZホールディングスが人権方針を整備済みな点は評価したものの、具体的な運用方針や人権デューデリジェンスの実施内容の不足に言及した。

また、ヤフーではサービス単位に人権に関する運用実態が認められるが、人権デューデリジェンスの内容に関する詳細な回答や公表資料は得られなかったとした。LINEについては、人権デュー・ディリジェンスのプロセスを公開せず、非公開の理由も開示しない点を指摘した。

救済メカニズムでは両社とも高く評価。「透明性レポート」を発行し、対応窓口開設だけでなく対外的に状況を公表している点に言及した。改善策として、「EUデジタルサービス法(DSA)と同様、信頼できる警告者による通報制度の導入を挙げた。

【参照ページ】
【報告書】「日本のインターネット・SNS関連事業者に対するアンケート結果 ―各社の人権への取り組みは国際水準を下回り、 ユーザーを含む人々の人権保護にとって多くの課題を抱えている―」

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