
6月27日、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)は、ロンドン気候行動週間において、水道事業者およびサービス業向けの最終セクターガイダンスを発表した。本ガイダンスは、自然資本への依存度が極めて高い水道業界にとって、自然関連リスクと機会の特定、管理、そして開示を体系的に進めるための重要な指針となる。
今回の発表は、業界関係者および科学専門家との協議を経て策定されたものであり、水循環のあらゆる段階、ならびに各事業体が関与する地域の水システムにおける活動全体を対象としている。TNFDが2023年に公表した「LEAPアプローチ(Locate, Evaluate, Assess, Prepare)」との整合性を保ちつつ、水道業界に特化した開示指標や評価視点を明確化している点が特徴である。
本ガイダンスの意義は業界関係者からも高く評価されており、AccionaやManila Waterといった水インフラ企業は、事業の根幹を成す自然の生態系サービスへの依存度の高さを認識したうえで、本ガイダンスが持続可能な運営やレジリエンス強化につながる実践的ツールであるとコメントしている。
TNFDは本ガイダンスを通じて、従来は財務情報として十分に可視化されてこなかった自然関連リスクの「見える化」を促進し、水道事業者が環境・社会・ガバナンス(ESG)の文脈においても先進的な対応を取れるよう支援する構えである。今回でTNFDが策定したセクター別ガイダンスは16分野となり、SICS産業分類の50%をカバーするに至る。
(原文)TNFD research reveals clear evidence of financial materiality of nature-related risks