
7月11日、英大手銀HSBCは、2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする長期目標には引き続き取り組む一方で、ネット・ゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)から脱退する方針を明らかにした。同社は2020年にいち早くネットゼロ方針を掲げた銀行の一つであり、今回の決定は目標放棄を意味するものではないと強調している。
HSBCは「移行計画を策定する顧客を支援することが、事業成長と株主利益、さらには経済のレジリエンス向上に貢献する」とし、引き続き脱炭素支援に注力する姿勢を示した。NZBAは各行が自らの排出目標を設定するための初期ガイドラインを策定する役割を果たしてきたが、HSBCは2025年中に移行計画を更新・実行する段階に入るとして、今回の脱退を判断した。
また、今後も「グラスゴー・ファイナンシャル・アライアンス・フォー・ネットゼロ(GFANZ)」との関与は維持し、ネットゼロ移行に必要な資金動員への支援を継続する。同社は、「部門や地域によって移行ペースは異なる」としながらも、顧客にとって現実的な資金調達を提供することで、排出削減とエネルギー安全保障、経済成長の両立を目指すとしている。