10月2日、グローバル・プロフェッショナル・サービス・プロバイダーであるKPMGが発表した新しい調査によると、66%がESGデータの開示を義務付けられているか、近々開示を予定しているにもかかわらず(上場企業の78%を含む)、報告されたESG情報について独立した保証を得る準備が進んでいる企業は4社に1社に過ぎない。
KPMGは本調査のために、幅広いセクターと地域、平均売上高156億ドル(約2兆3,384億円)の企業750社の経営幹部と役員を対象に調査を行い、ESG保証に向けたESG方針、スキル、システム、バリューチェーンデータの進捗状況を測る「ESG保証成熟度指数」を発表した。
EUのCSRDや米国SECの気候関連報告規則など、多くの新しい情報開示制度が、財務情報開示の要件と同様に、サステナビリティ報告について独立した保証を得ることを企業に要求している。
KPMGの調査によると、ガバナンス、スキル、データ管理、デジタル技術、バリューチェーンなど、さまざまな重要な要素において、規制要件が保留されているにもかかわらず、75%の企業がまだESG保証の準備の初期段階にあり、上位25%の「リーダー」企業でさえ、ESG保証の準備に大きな課題を抱えていることがわかった。調査によると、56%の企業がESGデータを公表しており、そのうち93%が何らかのレベルの外部保証を提供しているものの、妥当な保証を得ているのは14%、限定的な保証を得ているのは16%に過ぎない。
また、業種別ではエネルギー・天然資源セクターと製造業セクターのスコアが最も高く、テクノロジー・通信セクターとライフサイエンス・ヘルスケアセクターのスコアが最も低かった。
回答企業の64%がESG情報開示の保証を得る最大の要因は規制当局からの圧力であると報告しているが、本調査によると、経営幹部はサステナビリティ・データの保証を得ることで様々なメリットを期待している。
本調査では、企業がESG保証の準備において経験した課題の上位を調査しており、回答者が最も多く挙げたのは、初期費用が高いこと、社内のスキルや経験が不足していること(それぞれ44%が報告)であり、次いで、規制が明確でないこと、規制が進化していること(42%)、サプライヤーのESGパフォーマンスが不十分であること(42%)、ITやデジタルソリューションが不十分であること(39%)、明確な評価基準や測定ツールがないこと(36%)であった。
報告書が指摘した保証準備の主なハードルのひとつは、監査証跡の確立、つまり報告データの信頼性と透明性を確保するために、会計、取引の詳細、非財務データをそのソースまで追跡する記録の確立であった。調査によると、回答者の74%が非財務ESG情報の明確な監査証跡がないことを認めている。
また、ESGデータは財務データよりもはるかに広範な異種システムから収集する必要があり、多くの企業が環境基準や社会データを含む広範な要素について報告する要件に直面しているため、必要な情報の収集も依然として大きな障壁となっている。報告書によると、現在、Scope1と2の排出量データを収集している企業は半数強、Scope3のデータを収集している企業はわずか36%、従業員の多様性とインクルージョンが従業員の定着に与える影響や給与の公平性などの指標に関するデータを収集している企業は半数以下である。