5月17日、コマツ株式会社とトヨタ自動車は、コマツの自律走行型運搬車(AHS)を搭載した自律走行型軽車両(ALV)の共同開発プロジェクトを開始したと発表した。コマツとトヨタは、自律走行型運搬車やAHSで制御された自動運転ALVの走行により、鉱山におけるさらなる安全性と生産性の向上を実現するため、新技術の共同開発に着手している。現在、両社のプルービンググラウンドでコンセプトALVの実証実験を行っており、2024年1月頃までにお客様先で実証実験を行う予定である。
オートノミーは、人を危険から遠ざけ、安全性を高める機会を提供する。鉱業界では労働力不足が続いているが、鉱業関係者は、重要な鉱物を提供するハードワークを継続することができるようになる。また、複数の機器を操作する鉱山では、ヒューマンエラーによる事故を減らすために、さらなる安全対策を講じることができる。
コマツは、2008年に世界で初めてAHSを実用化して以来、さまざまな鉱山環境で実績を積み重ね、安全性と生産性で高い評価を得ている。現在、AHSを搭載した自律走行型トラックと保守・運搬用の手動式軽車両が同時に運搬路を走行する場合、ヒューマンエラーによる衝突を避けるため、自律走行型トラックは軽車両を追い越す際に速度を落としたり停止することがある。一方、自律走行型運搬車の運転効率については、鉱山作業の生産性向上に対する顧客の要望が課題として残っている。
このような状況を踏まえ、コマツとトヨタは共同で鉱山における自律走行を加速させるため、課題の早期解決を目指す。コマツはAHS監視システム上でALVの新しい管理プログラムを開発し、トヨタはAHS制御で自動走行するALVを開発する。
コマツの自律走行型トラックとトヨタのALVを共通のAHSを活用した鉱山現場で運用することで、鉱山作業全体で以下の安全性と生産性の向上を実現する。
- ALVが運搬路を安全に走行する。
- 既存の手動式軽車両で起こりうるような、ドライバーによる偶発的な接触を防止する。
- 運搬路で軽車両を追い越す際に、自律走行する運搬車の速度低下や一時停止を最小限に抑える。
- トヨタのALVの自律走行は、さらなる改良を加速させ、安全性と生産性に貢献する機能を追加している。
- 現場で働く他の鉱山機械の部品を自律的に移送する。
- 荷役機械やブルドーザーなど、他の機械のオペレーターを自律移動させる。
各社の役割
コマツ:AHSに新しいALV管理プログラムを開発する。
トヨタ:AHSの制御のもとで自律走行するALVを開発する。
- AHSの特徴
- 2008年に世界で初めてAHSを実用化して以来、世界5カ国22拠点に650台以上のトラックを配備している。(2023年5月現在)
- コマツのAHSは、世界の大手資源会社から安全性と生産性で高い評価を得ている。
トヨタは安全を最優先とし、交通事故による死傷者ゼロを最終目標としている。同社は、”Mobility for All “を提供するビジョンの一環として、安全・自動運転技術の開発を進めている。今回のコマツとの開発協力では、トヨタの自動運転技術を活用し、職場の人々の安全確保に寄与する。
コマツは、「ダントツバリュー」を通じて、未来の職場のために次のステージに着実に進み、持続可能な未来を次世代に引き継ぐために、新しい価値の創造に努める。ダントツバリューとは、コマツの中期経営計画「ダントツバリュー~Together, to “The Next” for sustainable growth~」において、収益改善とESG決議の好循環を生み出す顧客価値創造と定義している。
コマツとトヨタは、次世代に引き継ぐ豊かで持続可能な社会の実現に向けたビジョンを共有している。そのために、スマートでクリーンな未来の鉱山現場を実現し、お客様やパートナーの安全性と生産性の向上につなげる取り組みを加速させる。