5月22日、今治造船や尾道造船等の日本企業13社は、浮体式溶融塩炉(MSR)原子力発電所の開発や海上での利用を支援する英国のCore Powerに、合計約8,000万米ドル(約110億円)を投資することを発表した。
Core Powerのウェブサイトでも紹介されているレポートでは、日本企業は「Core Powerによる第三者割当増資を引き受け、英国企業は約1億米ドル(約138億円)を調達し、現在は日本企業によって過半数を所有されている」と述べている。
Core Power、Southern Company、TerraPower、Orano USAを含む多国籍チームは、米国エネルギー省(DOE)の資金援助を受けてアイダホ国立研究所に建設される「世界初の高速スペクトル塩炉の臨界達成」を目指す「溶融塩炉実験」に参加している。Core Power、MIT Energy Initiative、Idaho国立研究所は昨年、米国DOEの原子力大学プログラムより、米国における洋上浮体式原子力発電の開発に関する3年間の研究資金を獲得している。
Core Powerは、溶融塩炉の安全性を強調し、燃料と冷却材が高温で液体となる燃料塩の中で混合されることを指摘し、「燃料と冷却材が同じである液体燃料を使うことで、冷却材喪失事故が起こらなくなり、原子炉システムの安全性に非常に大きな影響を与える。MSRは、燃料がすでに液体であるためメルトダウンすることはなく、燃料が冷却材に閉じ込められているため、事故が発生しても核分裂過程で生成される有毒な放射性同位元素が環境中に放出されることはない」と述べている。
浮体式原子力発電所は、海上に設置することで、電力や水素、陸上での淡水化などを柔軟に提供できるため、今後の成長が期待されている。Core Powerは、「2030年までに、未来の海上のために競争力のある真のゼロエミッション電力システム」を作ることも目標としている。
【参照ページ】
(原文)Japan’s Onomichi Dockyard leads $80m investment in CORE POWER