3月30日、欧州理事会と欧州議会の交渉担当者は、EUのエネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合を2030年までに42.5%に引き上げるという拘束力のある目標を設定する暫定合意に達し、各加盟国が同目標に貢献することになった。
今回の合意には、これまで導入が遅れていた分野での自然エネルギーの統合を加速させることを目的として、運輸、産業、建物、地域冷暖房に対するより野心的な自然エネルギー目標も含まれている。
新目標の達成により、EUはエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの使用率を、2020年の22%からほぼ倍増させることになる。
また、本合意は、EUの再生可能エネルギーの目標を、現在の2030年の目標である32%から大幅に引き上げ、2030年までに温室効果ガス(GHG)排出量を1990年比で55%削減するというEUの戦略案である欧州委員会のロードマップ「Fit for 55」が提案する当初の40%の目標も上回る。
本協定に基づく分野別目標には、2030年までに建築物における再生可能エネルギー比率を49%以上とし、冷暖房の再生可能エネルギー目標を徐々に引き上げること、産業界が再生可能エネルギーの使用を毎年1.6%増やすこと、産業で使用する水素の42%を非生物由来の再生可能燃料(RFNBOs)から得ること、が含まれている。
運輸部門については、2030年の目標として、運輸部門の温室効果ガス強度を自然エネルギーで14.5%削減するか、同部門のエネルギー最終消費量のうち自然エネルギーの割合を29%以上とするか、加盟国が選択できるようにした。
新協定には、持続不可能なバイオエネルギー生産のリスクを低減することを目的とした、エネルギー用バイオマス利用基準の強化や、ロシアの化石燃料から独立するためのEUのREPowerEU計画における再生可能エネルギーの展開を早めるための、再生可能エネルギープロジェクトの許可手続きの迅速化などが追加されている。
仮合意は、今後、理事会および議会の加盟国代表による承認を経て、各機関で正式に採択される予定である。
【参照ページ】
(原文)European Green Deal: EU agrees stronger legislation to accelerate the rollout of renewable energy
(日本語参考訳)EU、2030年までにエネルギーミックスの再生可能エネルギーを倍増させる協定を締結