8月4日、日立造船所は会津大沼風力発電事業(仮称)について、環境影響評価法に基づき、経済産業省へ第一種事業の廃止を発表した。
日本自然保護協会は8月1日、福島県昭和村などで計画されている(仮称)会津大沼風力発電事業について、計画段階配慮書段階で事業計画を中止すべきと、日立造船株式会社に意見書を提出していた。
同意見書における内容は以下の通りである。
日立造船株式会社により計画されている(仮称)会津大沼風力発電事業は、自然環境面および防災面で下記のような重大な問題があり、事業計画を計画段階配慮書段階で中止すべきである。
1.事業実施想定区域のほぼ全域が、「会津山地緑の回廊」に指定されている。緑の回廊は、保護林をつなぎ、森林の連続性を生み出すことにより、生物多様性の保全機能を高める役割を果たしているが、本事業の実施は緑の回廊の分断を引き起こし、緑の回廊の機能全体を喪失させる。
2.国内希少野生動植物種に指定されているイヌワシとクマタカ、渡り鳥のノスリやハチクマなどの鳥類が、風車によるバードストライクの危険に晒される恐れがある。
3.ブナ林など自然度が高い森林のほぼ全域が水源かん養保安林に指定されている。加えて、1970年代に土砂災害が発生した渓流沿いの森林は、災害リスクを低めるために土砂流出防備保安林に指定されている。風車建設のためにこのような保安林を解除し、伐採、土地改変を行うことは、自然環境保全および防災上で大きな問題がある。
本風力発電事業は、完成すれば発電設備出力最大18万3千キロワットと、日本最大級であったが、上記の理由から廃止に至った。
【参照ページ】
(仮称)会津大沼風力発電事業の廃止について