世界的な銀行・金融サービス企業であるHSBCは、石炭火力発電および一般炭鉱への融資を2030年までにEUおよびOECD市場で、2040年までに全世界で廃止する方針を発表した。HSBCは、2050年までのネット・ゼロの目標に適合しない移行計画を持つ顧客に対する融資を段階的に縮小すると表明している。
火力発電用石炭は、世界の燃料構成の中で最も炭素排出量の多いエネルギー源だが、世界のエネルギー供給の40%近くを占めている。
この方針の公表は、2021年5月の年次総会で提出された決議で同社が行った公約を実現するものだ。また気候変動に関する決議は、HSBCの気候変動政策の拡充を含むもので、責任投資NGOシェアアクションが主導する、同行の気候変動対策へのより深いコミットメントを求めるキャンペーンを受けたものだ。
新しい方針の一環として、HSBCは影響を受ける顧客が2023年末までに移行計画を公表することを期待し、排出量削減の野心度、移行戦略の明確性と信頼性、情報開示の適切性、「公正な移行」の考慮などを考慮の上、毎年計画を評価するとした。HSBCは、移行計画について十分に関与していないと評価された顧客、あるいはその計画が2050年のネット・ゼロ目標に矛盾していると当行が見なす顧客に対しては、新規融資、借り換え、アドバイザリーサービスの提供を拒否すると表明している。
新しい方針には、段階的な目標達成のための中間目標が含まれており、2025年までに少なくとも25%、2030年までに50%、EU/OECD市場以外の顧客には後者までに一般炭への融資を削減することが盛り込まれている。HSBCはまた、2022年に科学的根拠に基づく融資の排出量目標を公表し、火力発電用石炭への融資削減の進捗状況を毎年報告することを約束したと述べた。
【参照ページ】
(原文)HSBC announces thermal coal phase-out policy
(日本語訳)HSBC、石炭火力発電と火力発電所への融資を終了する方針を発表