米国主催の民主化サミット、4カ国が「輸出管理と人権」イニシアティブを開始

12月9日、10日、人権を米国の外交政策の中心に据えるというコミットメントの一環として、バイデン・ハリス政権は、民主主義サミットにおいてオーストラリア、デンマーク、ノルウェーの3カ国とともに、「輸出管理と人権」イニシアティブを発表した。

同イニシアティブは、サイバー侵入、監視、その他のデュアルユース(軍民両用)技術が、反対意見の抑圧、人権擁護者への嫌がらせ、マイノリティコミュニティへの威嚇、内部告発者の抑止、表現の自由の抑制、政敵、ジャーナリスト、弁護士の標的、プライバシーへの恣意的または非合法的な干渉などに悪用されることが非常に多いとしており、それらに対処するため以下の取り組みを行うことを示した。

・人権基準を輸出許可政策および実務に適用する際の指針となる、自主的な書面による行動規範の策定に取り組むこと。
・志を同じくするパートナーとの間で、共通の行動や具体的かつ実践的な成果につながる政策的な調整を行うこと。
・政策立案者、技術専門家、輸出管理・人権関連の実務者が一堂に会し、重要な新技術が民主主義社会に反してではなく、民主主義社会のために機能するようにすること。
・国内の法的枠組みの強化、脅威やリスクに関する情報の共有、ベストプラクティスの共有・開発・実施、そして他者の能力向上のための最善の方法を探ること。
・今後1年間は、他国の政府との調整を進めるとともに、産業界や学術界との協議も行っていくこと。また、米国は同盟国やパートナーと協力して、主要な新興技術分野において民主主義の価値と民主的制度を強化していくこと。

4カ国の首脳は、技術に関する原則の声明を発表するとともに、共通の民主主義的価値観と人権の尊重に基づいて重要な新技術を推進するための新たな取り組みを開始した。これには、多国間の輸出管理体制を支援するための第三国へのキャパシティビルディング支援、現行および今後の法律・規制の動向に関する事前協議、機密性の高いデュアルユース技術に関する収束的な管理手法の開発などが含まれるほか、人権を脅かす技術の悪用についてもワーキンググループで取り組みを進めている。さらに、日本と韓国との間では、重要技術や新技術に関する二国間協力関係が新たに構築された。

【参照ページ】
(原文)Fact Sheet: Export Controls and Human Rights Initiative Launched at the Summit for Democracy
(日本語訳)民主化サミットで「輸出管理と人権」イニシアチブを開始

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