ネット・ゼロを目指す金融連合GFANZ、COP26にて進捗を報告。参画機関の資産は約1.5京円に

 

マーク・カーニー国連気候変動対策・金融特使は、COP26気候変動会議において、グローバル・ネット・ゼロ目標に賛同する金融セクター企業の資本が、世界の金融資産の約40%に相当する130兆ドル(約1.5京円)に急増したことを明らかにした。

この数字は、カーニーとマイケル・ブルームバーグが共同議長を務める「Glasgow Financial Alliance for Net Zero(GFANZ)」に所属する企業を指している。2021年4月に発足したGFANZは、「ネット・ゼロ・アセット・マネージャー・イニシアチブ」、「ネット・ゼロ・アセット・オーナー・アライアンス」、「ネット・ゼロ・バンキング・アライアンス」、「ネット・ゼロ・フィナンシャル・サービス・プロバイダー・アライアンス」など、複数のネット・ゼロ・グループをまとめている。

本日発表されたGFANZの進捗報告書によると、このアライアンスは急速に成長しており、現在では45カ国、450社以上が参加している。

カーニー議長によれば、気候変動に対応した資本が急増したことで、金融業界は、2050年までに最大100兆ドル(約1.1京円)と推定されるネット・ゼロへの世界的な移行に必要な巨額の資金を供給する体制が整ったという。

カーニーは次のように述べている。

「世界の金融システムの構造は、ネット・ゼロを実現するために変革されました。すべての金融政策において気候変動が考慮されるよう、気候変動を金融の最前線に移すために必要な仕組みが整ったのです。クリーンエネルギーの未来のために今後30年間で必要とされる推定100兆ドルの投資を賄うためには、このように金融の主流になることが必要です。またGFANZを通じたネット・ゼロへの資金投入の急速かつ大規模な増加は、1.5℃の世界への移行を可能にします。」

この進捗報告書では、GFANZの下で行われているいくつかの取り組みが紹介されています。その中には、新興市場や開発途上国におけるネット・ゼロ移行を支援するための民間資本の動員、特に炭素集約型セクターにおけるネット・ゼロ・パスウェイの定義、実体経済移行戦略と情報開示に関する金融セクターの期待を明確に定義する作業などが含まれている。

【参照ページ】
(原文)Our progress and plan towards a net-zero global economy
(日本語訳)ネット・ゼロを目指す金融連合GFANZ、COP26にて進捗を報告。参画表明機関の資産は約1.5京円に

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(前編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  2. 2025-8-14

    特別対談:TISFD運営委員・木村武氏 × シェルパCSuO中久保菜穂 「サステナビリティ情報開示の新潮流:TISFDが示す設計思想と、日本企業の対応意義を問う」(後編)

    本記事は、ESG Journal を運営するシェルパ・アンド・カンパニー株式会社のCSuOが、サス…
  3. 【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    2025-8-6

    【新着】ESRS改訂の全体像と今後への示唆ートピック別の変更点の整理ー

    ※本記事は、2025年7月31日時点の情報を元に作成している。今後の動向により内容は随時更新される…

ピックアップ記事

  1. ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    2025-9-15

    ESGフロントライン:米SEC委員長がサステナビリティ開示基準へ懸念を表明

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  2. 2025-9-12

    ISOとGHGプロトコル、温室効果ガス基準を統合へ 世界共通言語の構築目指す

    9月9日、ISO(国際標準化機構)とGHGプロトコルが、既存のGHG基準を統合し、新たな排出量算定…
  3. 2025-9-12

    カリフォルニア州、気候関連財務リスク報告の指針を公表

    9月2日、カリフォルニア大気資源局(CARB)は「気候関連財務リスク開示ドラフト・チェックリスト」…

““登録01へのリンク"

ページ上部へ戻る