ロンドン証券取引所、発行体向け気候情報開示ガイダンスを発行

 

10月20日、ロンドン証券取引所は、企業が気候変動リスクと機会を意思決定に組み込み、排出量の実績を報告できるようにすることを目的とした開示ガイダンスを同取引所の発行体向けに発行する「Climate Transition Offering」の開始を発表した。

ロンドン証券取引所は、持続可能な証券取引所(SSE)の「気候変動開示に関するモデル・ガイダンス」に基づいた気候変動報告書のガイダンスを発行する最初の取引所である。

SSEは、UNCTAD、国連グローバル・コンパクト、UNEP FI、PRIによって組織された国連パートナーシップ・プログラムで、投資家、企業、規制当局、政策立案者などの複数のステークホルダーが、ESG課題に関するパフォーマンスを向上させ、持続可能な投資を促進できるよう支援することを使命としている。このイニシアティブの主な目的の一つは、取引所が発行体にガイダンスを提供し、ESG情報の開示を促進することである。

モデルガイダンスは、SSE、ロンドン証券取引所グループ、ヨハネスブルグ証券取引所、マーク・カーニー国連気候変動対策・金融特使による1年間の開発イニシアティブを経て、2021年6月に正式に発表された。このモデルガイダンスは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言を実施する際に、取引所が発行体を指導することを目的としたワークストリームとなっています。

この新しいガイダンスは、企業が持続可能性に関するデータやパフォーマンス、特に気候変動の影響に関するデータを収集し、報告することへの圧力が高まっていることを受けたものである。英国は、新しい「金融のグリーン化」レポートを発表し、金融システムのグリーン化の計画と、持続可能性に関する情報開示の義務化に向けた次のステップのロードマップを提示した。

また、LSEは、投資家が注目する主要な気候指標を理解し、同業他社との比較を行うことを目的として、400社以上の発行体を対象とした「気候ガバナンススコア」を発表した。このスコアは、トランジション・パスウェイ・イニシアティブ(TPI)のマネジメント・クオリティ・スコア(MQS)手法に基づいており、企業のカーボンマネジメントの実践や、気候変動への配慮を事業戦略に組み込んでいるかどうかが考慮されている。

【参照ページ】
(原文)The London Stock Exchange introduces new climate reporting guidance for issuers
(日本語訳)ロンドン証券取引所が発行体向けの新しい気候報告書ガイダンスを導入

関連記事

おすすめ記事

  1. 2025-7-2

    シェルパ、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)理事・小森氏をゲストにウェビナー「ISSBが示すサステナビリティ情報開示の考え方」を実施

    - ISSB基準に関する最新動向から企業価値向上に向けた戦略的情報開示についてまで、講演と対談を通…
  2. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  3. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…

ピックアップ記事

  1. 2025-7-15

    ESGフロントライン:移行計画の“実行力”が企業価値を左右する時代へ

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  2. 2025-7-15

    ESRS開示項目66%削減案へEFRAGが草案公表。ダブルマテリアリティ評価も負担軽減

    7月、欧州のサステナビリティ報告基準を策定する欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)は、欧州サステ…
  3. ISSB×SASBスタンダード改訂:実務対応の整理とステップガイド

    2025-7-11

    ISSB×SASBスタンダード改訂:実務対応の整理とステップガイド

    2025年7月に公表されたSASBスタンダードの改訂案は、IFRS S2の産業別ガイダンスと連動す…

““登録02へのリンク"

ページ上部へ戻る