大手グローバル銀行群、COP26に先立ち、ネット・ゼロ・バンキング戦略の策定と実施に関するガイドを発表
持続可能な市場イニシアチブ(SMI)の金融サービスタスクフォース(FSTF)の下に集まった世界の主要銀行連合は、銀行業界が顧客のネット・ゼロ移行戦略を支援することを目的とした「ネット・ゼロ実務者ガイド」を発表した。
SMIは、持続可能な未来に向けた世界的な進歩を支援し、持続可能な市場に向けた投資を加速させることを目的として、昨年、ウェールズ殿下が立ち上げた世界的な持続可能性に関する連合体。
金融サービス・タスクフォースには、Bank of America、Barclays、BNP Paribas、Citi、Coutts、Credit Suisse、HSBC、JPMorgan Chase、 Lloyds Banking Group、 Macquarie Group、 NatWest Group、Standard Chartered Bankなど大手グローバル銀行が参加している。
国連気候サミット(COP26)に先立って発表されたこの新しいガイドでは、今後数十年間で数兆ドルの資金調達と資本の流れを必要とするネット・ゼロへの世界的な移行を支援するための銀行の役割について述べられている。本ガイドは、タスクフォースに参加している銀行の経験に基づいており、銀行のエグゼクティブや、銀行の気候変動対策を実施・構築する担当者が使用できるように作成されている。
また資金調達による排出量のネット・ゼロ戦略を策定するための手順や、戦略の実施に向けて銀行が直面する可能性のある主要な選択肢に対処するための推奨事項も含まれており、トレードオフや考慮すべき点などが記載されている。加えて低炭素社会への移行を加速させるための資金提供を可能にするために、顧客や政策立案者との関わり方や、進捗状況の開示・報告についても言及している。
本ガイドの主な推奨事項としては、定義された排出量の開示基準を通じた排出量の範囲の定義や、融資された排出量の業界報告基準の策定、測定方法(PCAFフレームワークなど)の遵守、排出シナリオの選択、ポートフォリオの整合性の測定、目標の設定、カーボンオフセットの使用の決定、進捗状況の開示などが含まれている。