マイクロソフト、印Panna森林再生プロジェクトで150万トンのカーボンクレジット購入契約を締結

3月6日、マイクロソフトは、Climate Impact PartnersおよびTerra Natural Capitalと協力し、インド、マディヤ・プラデーシュ州のPanna森林再生プロジェクトへの長期的な資金提供を決定した。マイクロソフトは今後30年間にわたり、同プロジェクトが創出するカーボン除去クレジットの50%に相当する150万トンを購入する。本プロジェクトは、APAC地域におけるマイクロソフト最大のカーボン除去案件であり、同社がインドで初めて手掛けるプロジェクトとなる。

Panna森林再生プロジェクトは、20,000ヘクタール(ワシントンD.C.の面積を超える規模)の農地および地域コミュニティの土地に、最大1,160万本の混合在来種の樹木を植林する計画である。これまでに100の地域で120万本以上の植樹が完了している。プロジェクトは、以下のような地域社会への幅広い恩恵を提供する。

  • 経済的エンパワーメント:農家はカーボンクレジット販売収益の一部や、植林された果樹や薬用植物の販売からの収益を直接享受
  • 持続可能な農業:気候変動に適応した農業技術の研修を提供し、収量の向上を支援
  • 水資源保全:プロジェクトは、池や井戸、点滴灌漑システムなどの大規模な水利インフラを整備し、樹木の成長を支えつつ水の循環と保全を強化
  • 生物多様性の向上:在来種の植林により、生態系の回復を促進し、減少していた蝶や鳥類の回帰を期待

Climate Impact PartnersのCEO、シェリ・ヒコックは、「マイクロソフトのようなリーダー企業がPannaプロジェクトを支援することで、カーボン除去市場の成長が加速し、気候目標の達成に寄与する」と述べた。マイクロソフトのシニアディレクター、ブライアン・マーズは、「Pannaプロジェクトは、気候変動対策のための自然ベースの解決策の重要性を示す好例」とコメントしている。また、Terra Natural Capitalのマネージングディレクター、エリカ・ヴェルテフェイユは、「本プロジェクトは、信頼できるプロジェクト開発者、企業の需要、革新的な資金調達が連携することで実現した」と述べ、今後もカーボン除去市場の成長に貢献していく方針を示した。

本プロジェクトでは、Verraの最新の森林再生手法「VM0047」を採用し、Integrity Council for the Voluntary Carbon Market(ICVCM)の基準を満たすCCP(Core Carbon Principle)ラベルの認定を受けている。また、Climate, Community and Biodiversity Standard(CCB基準)にも適合し、環境・地域社会への貢献が厳格に検証される予定である。

【参照ページ】
(原文)Climate Impact Partners Signs Deal with Microsoft to Deliver Carbon Removals from Large-Scale Community-Based Project in India
(日本語参考訳)クライメート・インパクト・パートナーズ、インドの大規模コミュニティベースプロジェクトから炭素除去を実現するためマイクロソフトと契約を締結

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