マース、欧州初の再生可能エネルギー加速契約を締結

10月7日、米大手食料品製造マースは欧州で初となる「Renewable Acceleration」契約を締結し、ポーランドにおいて再生可能エネルギー開発大手GoldenPeaks Capitalと連携し、100件以上の新規太陽光発電プロジェクトを開始する。

本契約により、マースは自社の直接事業運営に必要な電力を賄うだけでなく、サプライチェーン全体に再生可能電力を拡大する計画だ。プロジェクトは2027年に稼働予定で、総出力129MWac、年間約222GWhを供給し、約10万世帯に相当する電力を供給する見込みである。これによりポーランドの石炭依存からの脱却とEU気候目標の達成が後押しされる。

本契約は中東欧地域で最大規模のマルチバイヤー型再生可能エネルギー取引とされ、マースの主要サプライヤーで米穀物メジャーであるカーギルも独自契約を締結した。両社の参加により規模拡大が可能となり、サプライチェーン全体でのクリーンエネルギー利用が進む。

マースのグローバル・サステナビリティ担当副社長ケビン・ラビノビッチは「北米でのエネルと協働した契約に続き、今回の欧州での取り組みは、マースの事業展開するあらゆる地域で再生可能エネルギーを標準とするビジョンを示すものだ」と強調した。ゴールデンピークス創設者アドリアーノ・アゴスティも「マースは自社の責任を世界規模の脱炭素推進の機会へと変えている」と述べた。

マースの「Renewable Acceleration」プログラムは、化石燃料からクリーンエネルギーへの移行を加速させ、2030年までに全体のカーボンフットプリントを10%削減することを目指している。同社は2050年のネットゼロ達成に向け、森林破壊対策、気候スマート農業、輸送改善などとともに、持続可能性を事業全体に組み込む戦略を進めている。

(原文)Mars Signs First European Renewable Acceleration Contract in Europe in Partnership with GoldenPeaks Capital to Power Full Value Chain

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