
8月6日、欧州銀行監督局(EBA)は、EBAによる開示のための実施技術基準(ITS)に基づくESG第3柱開示要件の適用に関するノーアクション・レターを公表した。これは、サスティナビリティ報告に関する欧州委員会の新たな法案審議に伴い生じている法的・運用上の不確実性に対応する暫定的な措置である。あわせて、2024年12月時点のデータに基づき更新した、ESGリスクダッシュボードも公開した。
ノーアクション・レターは、EBAが現在策定中の新たな開示のための実施技術基準(ITS)が発効するまでの間、EBAに対して以下の措置を勧告するものだ。
- 上場証券を持つ大手金融機関に対し、現行の開示規則で定められた特定のESG情報開示テンプレート(テンプレートEU 6~10など)の提出義務の執行を優先しないこと。
- 資本要件規則(CRR)の改正により、新たに対象となったその他すべての金融機関に対しても、同様のESGテンプレート開示の執行を優先しないこと。
この措置は、進化するESG開示の枠組みへの円滑な移行を目的としており、EBAは今後もEU機関と連携し、一貫性のある制度構築に取り組むとしている。
EBAが同時に公表されたESGリスクダッシュボードの改訂版では、EUおよび欧州経済領域(EEA)の銀行全体におけるESGリスクの状況は「安定的」であると評価された。これは、気候関連リスクが長期的な性質を持つことや、銀行のポートフォリオが緩やかにしか変化しないことを反映しているという。なお、今後のダッシュボードは今回のノーアクション・レターの内容を反映し、特定のテンプレートや情報の開示の執行を優先しない形で調整される予定だ。
(原文)The EBA issues a no-action letter on the application of ESG disclosure requirements and updates the EBA ESG risks dashboard with December 2024 data
(日本語参考訳)EBAはESG開示要件の適用に関するノーアクションレターを発行し、2024年12月のデータでEBA ESGリスクダッシュボードを更新しました。