
7月8日、EUの金融市場規制および監督機関である欧州証券市場監督局(ESMA)は、初となる気候変動移行計画を正式に発表した。本計画は、EUの気候目標に沿ってESMAの業務運営を脱炭素化へと導く、重要な一歩となる。
ESMAは本計画に基づき、2023年を基準に、2027年までに温室効果ガス(GHG)の排出量を15.4%削減し、さらに2030年までに31.4%の削減を目指すと表明した。これらの目標は、パリ協定の温暖化抑制目標に整合する形で設定された。
気候移行計画の実施を通じて、ESMAは業務の炭素足跡を削減することを目指しており、特に従業員の出張、エネルギー使用、食品消費に関する分野に焦点を当てている。
具体策として、以下3つが挙げられている。
- 航空旅行におけるGHG排出量を管理するための年間GHG予算の導入
- 年間特定期間におけるオフィススペースの占有率最適化によるエネルギー効率の向上
- 商品・サービスの調達において低炭素選択を促すインセンティブ制度の導入
また、本計画は現時点で入手可能なデータに基づき策定されており、今後は定期的に見直し・更新・改善される予定である。ESMAは、これらの取り組みの実施状況を年次報告書および環境報告書の中で毎年公表し、透明性の確保と説明責任を果たす。
この取り組みにより、EUの金融監督機関としてのESMAは、規制や監督の枠を超え、持続可能な社会の実現に向けた先導的役割を果たす姿勢を明確にした。
(原文)ESMA publishes its first Climate Transition Plan
(日本語参考訳)ESMAが初の気候変動移行計画を発表