
5月19日、英国と欧州連合(EU)は、両者の排出量取引制度(ETS)を正式に連携させる方針を発表した。これにより、英国の主要輸出品である鉄鋼のEU市場へのアクセスが大幅に改善される見通しとなった。
英国の鉄鋼業界は長年にわたり、規模が小さく流動性の低い国内ETSの課題を指摘し、EUとの制度連携を求めていた。今回の合意により、炭素排出枠の相互承認が可能となり、両市場で単一の炭素価格が形成される。これにより、EUの「炭素国境調整措置(CBAM)」による追加コストと手続きが免除される。
英国の鉄鋼輸出の約75%はEU向けで、年間輸出額は約30億ポンドにのぼる。今回の連携は、鉄鋼角材などにかかるEU側の輸入制限を緩和する「鋼材セーフガード枠」の改善も含まれており、英国製品の競争力維持に寄与する。
UK Steelのガレス・ステイス代表は「ETS連携と市場アクセス改善は、鉄鋼業にとって貿易摩擦の低減と持続可能な成長の鍵となる」と強調した。
(原文)UK and EU steel carbon markets link and improved trade: better access to UK’s biggest steel export market
(日本語参考訳)英国とEUの鉄鋼炭素市場の連携と貿易の改善:英国最大の鉄鋼輸出市場へのアクセス改善