EIBとNIB、グリーンスチールの大規模生産に590億円超を提供

1月22日、欧州投資銀行(EIB)と北欧投資銀行(NIB)は、スウェーデン北部におけるH2グリーンスチールの大規模生産設備を支援するプロジェクトファイナンス案件に参加することを発表した。EIBは3億1,400万ユーロ(約501億円)を拠出し、このうち2億ユーロ(約322億円)は欧州委員会(EC)のInvestEUプログラムによる保証を受け、1億1,400万ユーロ(約181億円)はプロジェクトファイナンスに参加する商業銀行を通じて仲介される。NIBは、本プロジェクト・ファイナンス・パッケージに5,700万ユーロ(約90億円)を提供する。

本プロジェクトは、最も汚染度の高い部門のひとつである第一次鉄鋼業の脱炭素化に不可欠なものである。同工場は、主に自動車、建設、家電、産業機器、エネルギー分野をターゲットに、環境に優しく持続可能な高品質の平鋼製品を製造する。この最先端技術プロセスでは、生産工程における石炭が、再生可能な電力源からの電力を利用した電気分解に基づく水素生成プラントで代替される。

伝統的な一次製鉄は、エネルギーを大量に消費し、大量の炭素を排出する。世界の鉄鋼セクターは現在、世界の最終エネルギー需要の約8%、CO2排出量の7%を占めている。工場で生産されるグリーン・スチールは、従来の方法で生産されるスチールに比べ、CO2排出量が最大95%削減され、カーボンフットプリントはゼロに近くなる。

今回の融資契約は、EUの政策目標であるグリーン転換のための革新的技術の開発・促進を支援するため、InvestEUの研究・技術革新・デジタル化(RIDW)窓口の一部で支援される。また、欧州委員会のグリーン・ディール産業計画にも沿ったもので、欧州の野心的な気候変動目標を達成するために必要なネット・ゼロ技術のEUの製造能力を拡大するための支援を提供することを目的としている。また、EIBは、戦略的なネット・ゼロ技術の最先端製造業を支援するため、通常の融資に加えて450億ユーロ(約7兆円)の追加融資を行うことを約束しており、今回の融資はその一環でもある。

【参照ページ】
(原文)EIB and NIB to provide €371 million with InvestEU backing for H2 Green Steel’s large-scale production of green steel with minimal carbon footprint
(日本語参考訳)EIBとNIB、グリーンスチールの大規模生産に590億円超を提供

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