
4月30日、イングランド銀行のプルーデンシャル規制機構(PRA)は、銀行および保険会社に対する気候関連リスク管理の実効性を高めるための新たな提案を盛り込んだコンサルテーションペーパー(CP10/25)を公表した。これは、2019年に発表された監督声明SS3/19の更新版にあたり、物理的リスクや移行リスクを含む気候変動による財務リスクへの組織的対応を促すものとなっている。
提案は、気候関連リスクの特定・評価、リスク指標の設定とモニタリング、内部報告体制の強化、財務報告や資本評価への反映など、幅広い領域に及ぶ。企業に対しては、気候リスクを独立したカテゴリーとして明確に認識し、既存のリスク管理フレームワークと統合することが求められるほか、定量的指標による監視体制の構築と、経営層への定期的な報告も義務付けられる見込みだ。
また、保険会社に対しては、自己リスク評価(ORSA)やソルベンシー資本要件(SCR)において、気候リスクを正確に反映させる必要性が強調されており、監督当局の期待水準が一段と高まっていることがうかがえる。PRAによると、多くの企業はこれまで一定の進展を見せているものの、依然として対応の質や深度には差があり、特に定量的な裏付けを伴う対応が不十分と指摘されている。
PRAは2025年7月30日までの意見提出を呼びかけており、その後、提出されたフィードバックを踏まえて最終的な監督声明を年内に発表する予定だ。新たな指針の策定を通じ、英国の金融機関が気候リスクに対してより体系的かつ実効的に対応することを狙いとしている。