
3月6日、フランスの核融合スタートアップのRenaissance Fusionは、Series Aの第一回クローズで3200万ユーロ(約50億円)の資金を調達した。この資金調達は、Crédit Mutuel Alliance Fédérale銀行の社会配当によるファンド「Révolution Environnementale et Solidaire」が主導し、前回のラウンドをリードしたLowercarbon Capitalも参加した。
2020年にフランスのグルノーブル近郊で設立された同社は、ヨーロッパ初の磁気閉じ込め方式の核融合企業であり、簡易化したステラレータ方式の先駆者でもある。今回の資金調達により、同社は高温超電導体(HTS)の製造事業を本格化させるとともに、独自の液体金属壁技術の開発を加速し、小型HTS ステラレータ炉の試作機を構築する予定である。また、HTSの商業化による収益創出も視野に入れており、エネルギー生成・輸送・貯蔵、さらには医療画像分野での応用を進める考えだ。
同社の技術基盤は、液体金属、簡易型ステラレータ、HTSの三本柱であり、これらが同社の炉設計を低メンテナンスかつコンパクトなものにしている。
液体金属は、炉の遮蔽、燃料(トリチウム)の生成、熱抽出に活用される。同社はこの技術を開発する唯一の磁気閉じ込め型核融合企業であり、すでに簡易版の技術実証に成功している。現在、実用レベルの温度、素材、構造へと迅速に開発を進めている。
ステラレータ方式は、安定性が高く、操作が簡単でエネルギー効率の良い核融合装置である。同社は、幅広で円筒表面に置かれたHTS磁石を用いて三次元磁場を生成することで、設計の大幅な簡素化を実現している。