Mercedes-Benz、2030年までに生産時の排出量を80%削減することを約束

3月30日、Mercedes-Benzは、2030年までに生産に伴うCO2排出量を2018年基準で80%削減する新たな目標を発表した。

本目標は、同日開催した投資家・アナリスト向けのESGカンファレンスにて、再生可能エネルギー、サプライチェーンの脱炭素化、サーキュラー・エコノミー、人権などを含む一連のESG関連の目標や取り組みの一環として発表された。

80%の排出量削減目標は、Mercedes-Benzが2030年までにスコープ1および2の排出量を50%削減するというSBTiが承認した既存の目標を2022年に達成したことを受けている。また、同社は2022年の初めから、世界中の完全所有の生産拠点でカーボンニュートラルを実現していると述べている。

Mercedes-Benzの生産における脱炭素化の進展に大きく寄与しているのが、再生可能エネルギーへの転換である。現在、Mercedes-Benzの工場で生産に使用されるエネルギー全体の45%を再生可能エネルギーが占めている。同社は、2030年までに自社の生産拠点で必要なエネルギー全体の70%を再生可能エネルギーが占めるようにする意向を示しており、2039年までに全世界の生産拠点が100%再生可能エネルギーで稼働し、CO2排出量がゼロになることを目指す。

また、2021年には、市場環境が許す限り、2030年までに全ての販売車のEVへの完全移行を目指す。本イベントでMercedes-Benzは、2022年にバッテリーEVの販売台数が67%増加したことを明らかにした。2023年にはEVの販売台数が約2倍になり、2020年代半ばにはEVが販売台数の最大50%を占めるようになると予想している。

バリューチェーンにおいては、Mercedes-Benzは、遅くとも2039年にはグリーン・スチール・サプライチェーンを実現するという目標を掲げているとし、世界的な鉄鋼会社SSABから化石を含まない鉄の調達への合意や、グリーン・スチールのスタートアップH2 Green Steelへの投資など、本目標達成に向けて行ってきた取り組みが紹介された。また、2023年末までにドイツのクッペンハイムにある新しいリサイクル工場で操業を開始した直後、バッテリーのリサイクル率を96%以上にまで高める計画や、バッテリーやセルのカーボンフットプリントを減らすためにサステナブルな材料を調達し使用する取り組みも紹介した。

【参照ページ】
(原文)Substantial achievements and measurable targets.
(日本語訳)Mercedes-Benz、2030年までに生産時の排出量を80%削減することを約束

関連記事

“CSAセミナー"

おすすめ記事

  1. ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    2024-5-15

    ウェルビーイングとは?5つの要素から企業に求められる対応を解説

    上場企業であれば気候変動の情報開示が当たり前になってきたのと同じく、人材のウェルビーイングの実現に…
  2. CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    2024-5-7

    CSRDとは。日本企業に与える影響と今すぐできる対応を紹介。

    CSRD(Corporate Sustainability Reporting Directive…
  3. ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    2024-4-30

    ESG投資とは。改めて考える重要性とESG経営のメリット・今後の課題

    ESG投資の流れは国内外において拡大を続けている分野であり、注目を集めている。投資家のニーズに応え…

ピックアップ記事

  1. ESRS開示の実態調査(2024年上半期)から見えた企業が抱える共通課題とは

    2025-4-1

    ESRS開示の実態調査(2024年上半期)から見えた企業が抱える共通課題とは

    CSRD(企業サステナビリティ報告指令)のオムニバス草案が提出され、欧州の開示規則が変わる中、20…
  2. ESGフロントライン:潮流を読む~SEC気候開示規則の弁護を放棄ー規制後退の中で問われる企業の姿勢と対応

    2025-3-31

    ESGフロントライン:潮流を読む~SEC気候開示規則の弁護を放棄ー規制後退の中で問われる企業の姿勢と対応

    ※本記事は、ESG Journal編集部が注目のニュースを取り上げ、独自の視点で考察しています。 …
  3. 2025-3-27

    【GPIF発表】「優れた統合報告書」と「改善度の高い統合報告書」選定結果

    3月11日、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、国内株式の運用を委託している運用機関に対…

““登録02へのリンク"

ページ上部へ戻る