
2月、イケアの親会社であるIngkaグループは、気候変動への取り組みをさらに深化させるため、2025会計年度をターゲットとした「ネットゼロ移行計画」を発表した。この計画は、グループ全体での温室効果ガス(GHG)排出量削減を目的とし、2040年までに「ネットゼロ」を達成するという大胆な目標を掲げている。
Ingkaグループは、2016年度を基準年とし、2030年までに排出量を50%削減することを目標としている。さらに、2050年までには、少なくとも90%の排出量削減を達成し、残りの排出分を大気中から吸収・貯蔵する方法で中和する計画だ。同グループの計画は、パリ協定の1.5℃目標に沿った科学的根拠に基づく削減目標(Science Based Targets Initiative、SBTi)の承認を受けており、その進捗は透明性を持って公開される。
この計画の主な特徴としては、Ingkaグループのバリューチェーン全体にわたるデカーボナイゼーションのロードマップが含まれている点が挙げられる。具体的には、エネルギー効率の向上、再生可能エネルギーの採用、より持続可能な素材選択の推進、そして輸送や製品使用後の廃棄物削減など、多岐にわたる分野での取り組みが示されている。
また、計画には、イケアの顧客がより持続可能なライフスタイルを実現できるよう支援する取り組みも盛り込まれている。例えば、再生可能エネルギーを使用した家庭向け電力サービスの提供や、持続可能な製品選択の幅を広げることで、環境に優しい選択を促進する。
同グループは、この移行計画を実現するために、さまざまな課題があることを認識している。技術革新や効率化、政策的支援などが鍵となり、外部パートナーとの協力も必要不可欠とされている。そのため、政府や産業界、地域社会との連携を強化し、規制改革や再生可能エネルギーの普及を推進する姿勢を示している。
今回の計画は、単なる目標設定にとどまらず、実行可能な行動計画として具体性を持っており、Ingkaグループが気候変動問題への取り組みを主導する姿勢を示している。
【参照ページ】
(原文)Ingka Group Net Zero Transition Plan FY25
(日本語参考訳)イングカグループ ネット・ゼロ移行計画 25年度