4月3日、専門サービス会社EYは新しい調査を発表した。本調査によると英国政府は今年、大手上場企業に脱炭素計画の開示を義務付けると公約し、FTSE100社の80%以上が2050年までにネット・ゼロを約束したにもかかわらず、これらの企業の95%が「信頼できる」あるいは十分に詳細な計画を公表していないことが明らかになった。
英国は当初、2021年のCOP26会議中に金融機関や上場企業の移行計画の開示を義務化し、2023年に報告を開始することを約束し、その後、業界や学術界のリーダー、規制当局、市民社会団体からなる移行計画タスクフォース(TPT)を結成し、移行計画の「ゴールドスタンダード」を開発した。
TPTは2022年11月にフレームワークの草案を発表し、2023年夏にフレームワークと移行計画の実施指針を公表する予定である。予想される公表後、政府は2023年後半に気候移行計画開示の要件導入について協議することを約束した。
しかし、2023年1月31日時点でFTSE100企業が公開したネット・ゼロ移行資料の調査では、TPTフレームワークのガイダンス案を満たす計画を開示し、計画の実行を開始したのはわずか5%であった。
本調査では、信頼できるネット・ゼロ移行計画の作成に必要なTPTフレームワークの要素(基礎、実施戦略、関与戦略、指標と目標、ガバナンス)のうち、計画の目的、優先順位、中間目標とマイルストーン、移行計画の戦略的野心をビジネスモデルに組み込む方法の概要を記述する「基礎」段階においてFTSE100社が最も強いパフォーマンスを示し、78%の企業がこれを遵守したことがわかった。
FTSE100の企業にとって最も弱い要素は「実施戦略」の段階で、移行計画を実現するための短期、中期、長期の行動のより詳細な開示、製品やサービスの変更計画、戦略と計画を一致させるための内部方針、計画した戦略変更の財務的影響の説明、感度分析など、要求要素のいくつかを公表した企業はわずか11%にすぎなかった。
十分に詳細な計画を提供していると評価された5%の企業でも、財務計画や財務指標・目標の定義などの分野でギャップがあり、完全にTPTに適合しているとみなされるためには、さらにやるべきことがあることを示している。
【参照ページ】
(原文)Only 5% of FTSE 100 have published Net Zero plans that would be deemed ‘credible’ under Government’s Transition plan guidance
(日本語訳)EY、FTSE100社のうち、信頼できる脱炭素化計画を公表している企業はわずか5%と調査