EUが4億2,200万ユーロをゼロエミッション移動の推進に投入

2月6日、欧州連合(EU)は、トランスヨーロッパ輸送ネットワーク(TEN-T)における脱炭素化を目指し、代替燃料インフラ整備のための39件のプロジェクトに対し、総額4億2,200万ユーロの資金を投入することを発表した。この資金は、EUの輸送インフラ支援プログラム「欧州結合基金(Connecting Europe Facility:CEF)」の一環として提供される2024-2025年の「代替燃料インフラ施設(AFIF)」プログラムに基づくものだ。今回のプロジェクト選定は、このプログラムの初回締切分に該当する。

この資金提供によって、TEN-T道路ネットワークでは、軽車両向けの約2,500か所の電気充電ポイント、重量車両向けの約2,400か所の充電ポイントが新たに設置される予定だ。また、乗用車やトラック、バスのための35か所の水素燃料補給ステーションの整備も行われる。さらに、8つの空港における地上業務の電化、9つの港湾の環境配慮型改修、2か所のアンモニアおよびメタノール燃料補給施設の整備が計画されており、これらはEU全体でのゼロエミッション移動の促進を目的としている。

EU加盟国は、2025年2月4日にこのプロジェクト選定を承認した。これを受け、欧州委員会は今後数か月以内に正式な助成決定を採択する予定だ。正式決定後、欧州気候・インフラ・環境執行機関(CINEA)は、選定されたプロジェクトの受益者と助成契約の準備を進めることになる。

今回の資金提供は、2024年にスタートしたAFIFプログラムの第2フェーズに基づくものである。このフェーズでは、総額10億ユーロが予算として確保されており、うち7億8,000万ユーロは一般枠、2億2,000万ユーロは結束枠に割り当てられている。AFIFプログラムの目的は、EUの主要輸送回廊やハブにおいて、公共利用が可能な電気充電ステーションや水素燃料補給ステーションの整備を推進することであり、同時に航空分野の「ReFuelEU」や海運分野の「FuelEU」の目標達成を支援することにもある。

今回のプロジェクト選定は、道路、海運、内陸水路、航空輸送のための代替燃料供給インフラ整備を対象としている。この中には、電気充電ステーションや水素燃料補給ステーション、電力供給インフラ、さらにはアンモニアおよびメタノール燃料補給施設の整備が含まれる。AFIFの公募は現在も継続しており、次回の締切日は2025年6月11日とされている。

EUが進めるこれらの取り組みは、環境負荷の低減と持続可能な交通インフラの実現を目指したものであり、ゼロエミッション移動の実現に向けた重要なステップとなる。

【参照ページ】
(原文)Alternative fuels: €422 million of EU funding to boost zero-emission mobility
(日本語参考訳)代替燃料:ゼロ・エミッション・モビリティを促進するための4億2200万ユーロのEU資金援助

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